官公庁が業者が作成する請求書の作成日付にこだわる理由

 市役所などの官公庁と取引をし、請求書を送付した時、官公庁の担当者から「請求書の作成日付が少し早いので直してください」と言われたことがありました。

 私は、内心、『請求書の作成日付をうるさく指摘する必要があるのか?』と腹が立ったことを覚えています。

 しかし、よくよく調べてみると、官公庁にとって、請求書の作成日付は重要であることが分かりました。

 官公庁が請求書の作成日付にこだわる理由と、官公庁が求める請求書の作成日付の設定の仕方について実務に則して分かりやすく説明します。

官公庁が請求書の作成日付にこだわる理由①

 官公庁の代金支払手続の法律上の流れは以下のとおりです。

業者による義務の履行(納品、工事完了など)→官公庁担当者による検査(履行がきちんとされたかを確認)→検査後、業者が請求書を発行→官公庁が代金を支払を行う

 この流れは法律で決められていることなので、官公庁はこの流れどおりに会計手続を行わなければなりません。

 ここから、何を言いたいかというと、

官公庁が検査をする→官公庁の検査の日付以降の日付で業者は請求書を作成しなければならない

ということです。

 例えば、官公庁が9月10日に検査を行った場合、業者は9月10日以降の日付の請求書を発行しなければなりません。

 早まって9月8日や9月9日の日付の請求書を官公庁に提出すると、9月10日以降の日付で請求書を再提出するよう求められてしまいます。

 官公庁の検査日は、基本的には、納品、工事完了など、業者の義務の履行日になるので、納品、工事完了の日付以降で請求書を作成すればよいと思います。

 もっと突っ込んでいうと、義務を履行してから、数日経った後の日付で請求書を作成するのがベターだと思います。 

今の話の法律上の説明

 今の話を法律に則って説明します。

 読み飛ばしてもらっても結構です。

 根拠となる法律は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律です。

(支払の時期)
第六条 第四条第二号の時期(※請求代金の支払期限のこと)は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日(以下この規定又は第七条の規定により約定した期間を「約定期間」という。)以内の日としなければならない。

 『国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から…』とありますが、この条文により、

官公庁は検査した後、業者から検査の日付以降の日付の請求書の提出を受ける

という時系列で手続を行わなければならないことになります。

官公庁が請求書の作成日付にこだわる理由

 官公庁には、代金の支払期限が法律で設けられています。

 官公庁が業者との契約書を作成している場合は、官公庁は30日~40日以内に代金を業者に支払わなければなりません。

 官公庁が業者との契約書を作成していない場合は、官公庁は15日以内に代金を業者に支払わなければなりません。

 経験上、官公庁は、契約金額が100万円を超えるような大型の契約の場合に契約書を作成するように思います。

 ほとんどの場合は、契約金額が100万円を超えず、契約書を作成しない場合が多いようです。

 問題となるのが、契約書を作成しない場合です。

 契約書を作成しない場合は、官公庁は、業者が作成した契約書の作成日から15日以内に代金を支払わなければなりません。

 例えば、業者が9月10日の日付の契約書を作成した場合、官公庁は9月24日までに代金を支払わなければなりません。

 業者が9月10日の日付で請求書を作成し、業者の事務手続の遅れで9月20日に請求書が官公庁に到着した場合、官公庁は4日しか支払手続の余裕がなくなります。

 官公庁において支払手続が間に合わないとなると、官公庁から請求書の訂正を依頼されることになる可能性があります。

 なお、官公庁担当者は、支払期限までに代金を支払わなかった場合、必ず懲戒処分にされることが法律で決まっています。

まとめ

 以上のことから、請求書の日付は

  • さかのぼった日付で作成しない
  • 請求書は作成したらすぐに発送する

 ことが大切になります。

今の話の法律上の説明

 契約書を作成していない契約の代金の支払期限が15日以内であることの根拠となる法律は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律10条にあります。

 (定をしなかつた場合)
第十条 政府契約の当事者が第四条ただし書の規定により、同条第一号から第三号までに掲げる事項を書面により明らかにしないときは、同条第一号の時期は、相手方が給付を終了し国がその旨の通知を受けた日から十日以内の日、同条第二号(※代金の支払期限のこと)の時期は、相手方が支払請求をした日から十五日以内の日と定めたものとみなし、同条第三号中国が支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、第八条の計算の例に準じ同条第一項の財務大臣の決定する率をもつて計算した金額と定めたものとみなす。政府契約の当事者が第四条ただし書の場合を除き同条第一号から第三号までに掲げる事項を書面により明らかにしないときも同様とする。 

 「(定をしなかつた場合)」とありますが、これは契約書を作成しなかった場合という意味です。

 「(代金の支払時期は、)相手方が支払請求をした日から十五日以内の日と定めたものとみなし」の部分を説明します。

 「相手方が支払請求をした日」とは、業者が作る請求書の作成日を指します。

 「十五日以内の日と定めたものとみなし」これは、業者が作る請求書の作成日から起算して15日目が代金支払期限になるという意味です。

 支払期限までに代金を支払わなかった場合、官公庁の担当者は必ず懲戒処分されることについては、同じ法律の13条に規定があります。

(懲戒処分)
第十三条 国の会計事務を処理する職員が故意又は過失により国の支払を著しく遅延させたと認めるときは、その職員の任命権者は、その職員に対し懲戒処分をしなければならない

 ポイントは懲戒処分をしなければならいという点です。

 これは、どんな事情があっても許されることはなく、必ず懲戒処分されるということです。

 まとめると、

官公庁は、契約書を作成していない契約の代金支払は、請求書の作成日から15日以内に行わなければならなず、もし、15日以内に支払うことができなかった場合は、官公庁の担当者は、必ず懲戒処分される

ということになります。

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