学習

予測、直感の妥当性は、「規則性」の有無で判断できる

予測、直感の妥当性は、「規則性」の有無で判断できる

 予測する未来の妥当性、直感が信頼できるかどうかは、何をもって判断できると思いますか?

 予測する未来の妥当性、直感が信頼できるかどうかは、

   規則性があるかどうか

が判断基準になります。

 私は、未来を予測したり、直感に基づいて行動するとき、その未来予測や直感の精度を計る手法として、この考え方は、妥当性があると感じています。

 たとえば、仕事において、いつも行っているルーティンワークでミスをするというのは、ほぼないわけです。

 これは、その仕事をうまくやる手順 — 言い換えると、うまくやるための規則性を知っているからです。

 このように、未来予測、直感の精度を確かめる手段として、規則性を求める方法は、みなさんも日常的にやっています。

 分かりやすい例が、前例の確認です。

 何かに挑戦するとき、勝負に挑むとき、前任者・先人・歴史がどのような前例を残しているか、確認することがあります。

 この前例の確認作業が、成功に着地するための規則性の追求作業になっています。

 このことからも、予測する未来の妥当性、直感が信頼できるかどうかは、規則性の有無が判断基準になるという考え方は納得がいくのです。

 未来予測・直感の精度、成功確率を上げたければ、規則性を見出すことに労力をさいてみることが有効になります。

規則性を見出せる環境、見出せない環境

 規則性を見出すといっても、そもそも、規則性を見出せる環境と、規則性を見出せない環境というのが存在します。

規則性を見出せる環境

 規則性を見出せる環境は、職業でいうと、将棋の騎士、スポーツ選手、医者があげられます。

 将棋の騎士、スポーツ選手、医者をとりまく環境は複雑ですが、基本的な秩序があります。

 基本的な秩序があるため、統計的な規則性を備えており、技術をスキルとして習得可能です。

 規則性を見出せるから、技術を確立でき、うまくやる方法を確立することができます。

規則性を見出せない環境

 規則性を見出せない環境は、職業でいうと、ベンチャー企業やスタートアップ、長期を予想する評論家があげられます。

 前例がない(ベンチャー企業、スタートアップ)、長期を予想する(評論家)ような状況においては、規則性を見出すことは困難になります。

  • ベンチャー企業やスタートアップには、安定がなく、失敗の可能性の方が高い
  • 政治や経済の評論家の予測は、ことごとく外れる

のは、予測しようとする事業が、基本的に予測不能の性質をもったものであることを反映しています。

※ コロナの流行により、2020年の東京オリンピックが実施されない未来を予測できた評論家がいたでしょうか?

予測不能な世界が存在する

 ベンチャー企業や評論家の世界のように、規則性が見出せず、予測不能な世界(または、予測可能性が低い世界)が存在することを理解できることが大切です。

 まず、今、自分や他人が置かれている世界が、予測可能な方の世界なのか、それとも、予測できない方の世界なのかを、仕分けできるようになりましょう。

 すると、予測不能な世界に身を置いた場合に、うまくいかなかった原因を、自分や他人に求めるのは、間違っていると気づけます。

 予測不能な世界において、予測が当たらず、低調な成績に終わったのは、能力が足りなかったからではなく、そもそも単純な答えがでないことに手を出したからと分かります。

 予測不能な世界においては、うまくいかなった原因は、予測不能性に求めるのが健全です。

規則性がない状況では、直感は信用できない

 規則性が存在しない場合(有効な手がかりが存在しない場合)には、直感が当たるかどうかは、運によります。

 規則性がなく、予測不能な状況において、「俺の直感は正しい!だから信じろ!」という人がいたら、その人は、自信過剰に陥ています。

 運が良い方に傾き、良い結果が到来すれば、「ほら、俺の言ったとおりだろ」となりますが、それは結果論です。

 運が悪い方に傾けば、悲惨な結果が招かれます。

 「俺の直感は正しい!だから信じろ!」と言った人は、沈黙して、身を隠します。

 『一定の規則性が存在しない状況においては、直感は信用できない』という考え方は、心に留めておくと良いです。

 そうすることで、自分の行動が

  • 運に身を任せているものなのか、

  それとも、

  • 有効な手がかりにより支えられているものなのか

を区別できます。