前回の記事の続きです。
この記事では、公電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2第2項)を適宜「本罪」といって説明します。
本罪の客体
公電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2第2項)の客体は、
公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録
です。
「公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録」とは、
公務所又は公務員の職務の遂行として作出されることとされている電磁的記録のこと
です。
具体的には、
- 自動車登録ファイルや運転者管理ファイルの記録
- 住民基本台帳ファイル(住民基本台帳法に基づき市町村長により磁気ディスクをもって調製される住民票を編成したもの)の記録(仙台地裁判決 平成2年9月11日)
などのように、公務所又は公務員の職務の遂行として行われるデータの入力により作出されるべき電磁的記録のほか、
- 航空運送貨物の税関手続の特例等に関する法律に基づく電子情報処理組織における申告の記録
などの公務所又は公務員の職務の遂行のために用いられる電子計算機において、外部からの入力を受けて公務所により作出されるべき電磁的記録などがあります。