刑法(淫行勧誘罪)

淫行勧誘罪(1)~「淫行勧誘罪とは?」「保護法益」を説明

 これから4回にわたり、淫行勧誘罪(刑法183条)を説明します。

淫行勧誘罪とは?

 淫行勧誘罪は、刑法183条において、

  • 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘し姦淫させた者は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する

と規定されます。

 淫行勧誘罪は、

営利の目的で淫行の常習のない女子に対して姦淫することを勧誘して姦淫させるに至らしめる行為を罰する規定

です。

保護法益

 淫行勧誘罪の趣旨が

  • 淫行の常習のない女子の保護を主たる目的としているのか?
  • 品行方正な女子を堕落させることによる風俗の乱れの防止を主眼としているのか?

は必ずしも明確ではなく、学説は分かれています。

 そして、淫行勧誘罪の保護法益についても2説あり、

  1. 対象となる女子の人格的法益の保護を主たる法益であるとする説
  2. 性的自由ないし貞操が保護法益であるとする説

があります。

処罰

 淫行勧誘罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。

 本罪は、勧誘された女子が姦淫を行うことにより既遂に達し、未遂は処罰されません(既遂の説明は前の記事参照)。

 また、本罪は、親告罪ではありません。

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淫行勧誘罪(2)~「客体(淫行の常習のない女子)」を説明

淫行勧誘罪(3)~「『勧誘』とは?」「『営利の目的』の意義」を説明

淫行勧誘罪(4)~「罪数の考え方」を説明