前回の記事の続きです。
罪数の考え方
淫行勧誘罪(刑法183条)の罪数の考え方について説明します。
不同意性交等罪との関係
暴行・脅迫によって女子を姦淫するに至らしめるた場合、もはや勧誘とはいえず、淫行勧誘罪は成立せず、不同意性交等罪(刑法177条)のみが成立します。
売春防止法との関係
売春防止法上の罪との関係は、管理売春の罪(同法12条)については、淫行勧誘罪は管理売春の罪に吸収されると解すべきとされます。
その他の売春防止法上の罪と淫行勧誘罪については、観念的競合と解されています。
児童福祉法との関係
児童福祉法の児童に淫行をさせる罪(同法34条1項6号)と淫行勧誘罪とは観念的競合となります。
この点を判示したの以下の裁判例です。
仙台高裁秋田支部判決(昭和30年5月17日)
裁判所は
- 「児童に淫行をさせる罪」と淫行勧誘罪とは観念的競合の関係にある
としました。
淫行勧誘罪の記事一覧
淫行勧誘罪(1)~「淫行勧誘罪とは?」「保護法益」を説明
淫行勧誘罪(2)~「客体(淫行の常習のない女子)」を説明
淫行勧誘罪(3)~「『勧誘』とは?」「『営利の目的』の意義」を説明
淫行勧誘罪(4)~「罪数の考え方」を説明