刑法(常習賭博罪)

常習賭博罪(13)~共犯・従犯②「賭博の非常習者が常習者に加功した場合、非常習者には賭博罪の教唆又は幇助が成立する」を説明

 前回の記事の続きです。

賭博の非常習者が常習者に加功した場合、非常習者には賭博罪の教唆又は幇助が成立する

 常習者の賭博行為に非常習者が加功した場合(教唆幇助した場合)について、判例は、非常習者には賭博罪(刑法185条)の教唆幇助罪が成立しその刑が科されるとの立場をとっているものと考えられています。

 例えば、常習者が旧取引所法32条の5の行為(注)(賭博罪(刑法185条)の特別規定)を行った場合において、その常習者については常習賭博罪(刑法186条1項)が成立しますが、これを幇助した非常習者については、旧取引所法32条の5の罪(賭博罪の特別規定)の幇助罪が成立するとします。

(注)旧取引所法32条の5…現行の金融商品取引法202条又は旧証券取引法201条に相当する規定であり、賭博罪の行為のうち特殊の場合に関する罰則規定(詳しくは前の記事参照)。

 この点を判示したのが以下の判例です。

大審院判決(大正7年1月16日)

 裁判所は、

  • 刑法第185条の賭博行為中、取引所よらずして取引所の相場により差金の授受を目的とするものについては取引所法第32条の5を適用すべく、この点において刑法第185条の内容は一部廃止の結果を生じたるものなること当院判例の認むるところなり
  • 而して、賭博常習者が前示の行為を為したるときは刑法第186条第1項に該当し、常習者にあらざる者がその行為を幇助したるときは、刑法第65条第2項により取引所法第32条の5、刑法第62条第1項第63条を適用処断すべきものにして刑法第185条を適用すべきものにあらず

と判示しました。

次の記事へ

賭博に関する罪の記事一覧