前回の記事の続きです。
共犯者の常習性認定の基準時
共犯者の常習性は、教唆・幇助行為の時点を基準に判断されるべきであり、後に行われた本犯の行為時までの間に新たに常習性を取得したとしても常習性が認められるものではないとされます。
この点を判示したのが以下の裁判例です。
大阪地裁判決(昭和58年3月17日)
裁判所は、
- 幇助といえども、自ら習癖として行なう賭博行為の態様、幇助行為の動機、態様等に徴し、それがその者の有する賭博常習性の発現とみられる場合には、常習賭博幇助罪が成立し、同時に同じ常習性の発現としての賭博罪を犯した場合にはこれと常習一罪の関係に立つものと解され、また賭博を幇助する意思で賭博用具を売買等によって譲渡した場合のように、本犯の成立をまたずに幇助行為が完了している場合は、その時点すなわち幇助行為の時点における常習性のみが問われ、本犯成立時までに新たに常習性を獲得しても、先の幇助行為が後の常習性の発現ということは有り得ないから常習賭博幇助罪が成立する余地はなく、後に行なわれた常習賭博罪と一罪の関係に立つこともないが、賭博用具を賃貸して賭博を幇助する場合のように幇助行為が継続している場合は、幇助行為開始時点では常習性が認められない場合であっても、その後犯人が賭博の常習性を持つに至り、本犯成立時に引き続いて賃貸しているという幇助行為が、右常習性の発現と認められる限り常習賭博幇助罪が成立し、同じ常習性の発現として行なわれた常習賭博罪とは常習一罪の関係に立つものと解すべきである
と判示しました。