刑法(常習賭博罪)

常習賭博罪(19)~「常習賭博罪にも再犯加重規定が適用される」を説明

 前回の記事の続きです。

常習賭博罪にも再犯加重規定が適用される

 常習賭博罪(刑法186条1項)により処罰される者について、その常習賭博行為の犯行日から過去5年以内に実刑に処された前科がある場合に、刑法56条57条の再犯加重規定は適用されるかが問題になります。

 まず、再犯と再犯加重について説明します。

 刑法56条は再犯の規定です。

 再犯とは、犯罪を犯して拘禁刑の判決を受けて実刑に処せられ、刑務所に服役して刑の執行を受けて出所した者が、刑の執行終了後5年に再び拘禁刑に当たる犯罪を犯すことをいいます。

 再犯に当たる者が、再び犯した犯罪で拘禁刑に処せられる場合、刑法57条の再犯加重の規定が適用され、法定刑の長期が2倍になり、結果、重く処罰されることになります。

 例えば、常習賭博罪(刑法186条1項)の法定刑は「3年以下の拘禁刑」ですが、再犯の場合、この法定刑の長期が2倍になるので、法定刑は「6年以下の拘禁刑」になり、結果、重い判決が言い渡されることになります。

 判例は、常習賭博罪を犯した者についてはも、刑法56条57条の再犯加重規定の累犯加重規定は適用されるとします。

大審院判決(大正7年7月15日)

 裁判所は、

  • 刑法第56条には、広く懲役に処せられたる者、その執行終わり又は執行の免除ありたる日より5年以内に更に罪を犯し有期懲役刑に処るべきときは再犯とすと規定しありて、常習賭博罪を処断する場合においても、その前科の賭博(懲役刑)たると否とによりこれが適用を異にすべきものに非ず

と判示しました。

最高裁決定(昭和48年12月7日)

 裁判所は、

  • 常習賭博の罪についても、累犯加重の規定の適用があるものと解すべきである

と判示しました。

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