前回の記事の続きです。
事後収賄罪の行為
事後収賄罪は、刑法197条の3第3項において、
- 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の拘禁刑に処する
と規定します。
事後収賄罪は、
- 公務員在職中おいて、請託を受けたこと、職務上不正な行為をし又は相当の行為をしなかったこと
が構成要件的行為です。
「請託」の意義は、受託収賄罪と同じなので、受託収賄罪(2)の記事をご確認ください。
「受けたこと」の意義も、受託収賄罪と同じなので、受託収賄罪(5)の記事をご確認ください。
「職務上」の意義は、単純収賄罪と同じなので、単純収賄罪(11)の記事をご確認ください。
「不正の行為をし又は相当の行為をしなかったこと」の意義は、事前加重収賄罪と同じなので、事前加重収賄罪(2)の記事をご確認ください。
「収受」の意義は、単純収賄罪と同じなので、単純収賄罪(17)の記事をご確認ください。
「要求」の意義も、単純収賄罪と同じなので、単純収賄罪(20)の記事をご確認ください。
「約束」の意義も、単純収賄罪と同じなので、単純収賄罪(21)の記事をご確認ください。
判例
事後収賄罪の判例として以下のものがあります。
防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった被告人が、在職中に私企業の幹部から請託を受けて職務上不正な行為をし、その後間もなく退職して、同私企業の関連会社の非常勤顧問となり、顧問料として金員の供与を受けた事案です。
裁判所は、
- 防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が、在職中に私企業の幹部から請託を受けて職務上不正な行為をし、その後間もなく防衛庁を退職して上記私企業の関連会社の非常勤の顧問となり顧問料として金員の供与を受けたなどの本件事実関係の下においては、顧問としての実態が全くなかったとはいえないとしても、供与を受けた金員は不正な行為と対価関係があり、事後収賄罪が成立する
と判示しました。