刑法(凶器準備集合・結集罪)

凶器準備集合・結集罪(7) ~ 凶器準備集合罪⑥「加害の対象・内容は具体的に特定されていることを要しない」「共同加害目的の認定方法」を説明

 前回の記事の続きです。

 凶器準備集合罪は、刑法208条の2第1項で、

2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する

と規定されます。

 この記事では、条文中にある「共同して害を加える」に関し、

  1. 加害の対象・内容は具体的に特定されていることを要しない
  2. 共同加害目的の認定方法

について説明します。

① 加害の対象・内容は具体的に特定されていることを要しない

 凶器準備集合罪の個人に対する加害行為の予備罪的性格を重視する立場からは、加害対象はある程度特定していなければならないとされますが、凶器準備集合罪の公共的性格に着目する限り、加害の対象・内容は具体的に特定されていることを要しません。

 この点、大阪高裁判決(昭和54年10月30日)は、

「公共的な社会生活の平穏をも保護法益とするものであるから、構成要件的状況の一要素としての『共同加害の目的』が、その加害の対象、日時等につき具体的に特定、認識されたものでなければならないものでない」

と判示しています。

② 共同加害目的の認定方法

 凶器準備集合罪が成立するためには、「共同加害目的」が必要です。

 「共同加害の目的」は、

  • 凶器の種類・数量
  • 凶器が準備されるに至った時点における客観的状況
  • 被告人らのその前後の行動
  • 被告人らの属する集団と相手方集団との緊張関係

などの状況を総合し、認定されることになります。

 この点、参考となる判例・裁判例として、以下のものがあります。

最高裁判決(昭和52年5月6日)

 角材の柄付きプラカード等を所持して集団示威運動を行っていた学生集団の先頭部分の学生のうち、所掲の右プラカード等を振り上げて警察官をめがけて殴りかかっている状況を相互に目撃し得る場所に近接して位置し、しかも自ら警察官に対し暴行に及んだ者あるいは暴行に及ぼうとしていた者についてまで右行為は各自の個人的な意思発動による偶発的行為であるとして、凶器準備集合罪にいう共同加害目的の存在を否定した原判決は、判示の事情のもとにおいては、事実を誤認した疑いがあり、破棄を免れないとしました。

東京高裁判決(昭和44年5月29日)

 刑法208条の2にいう共同加害の目的は、凶器を準備して集合した時点における客観的状況、被告人のその前後の行動等、とくに凶器を使用して相手方に対し現に攻撃的行動に出でたことを総合して、これを認めることができるとし、凶器準備集合罪の成立を認めました。

東京高裁判決(昭和45年8月3日)

 積極的に進んで害を加える意図がなかったとしても凶器の準備あることを知って集合した者に共同加害目的が認められるとし、凶器準備集合罪の成立を認めました。

東京高裁判決(昭和50年12月12日)

 火炎びんを運搬中の被告人について、その数量形態、所属する過激集団の当時の動向、政治的活動、被告人の集団での地位・役割等により、佐藤首相訪米阻止闘争に際し、警備中の警察官に対し、右火炎びんを自ら使用するか、又はこれを右集団の構成員に供給して使用させることにより、共同加害の意図を実現する目的で本件火炎びんを携帯して集合しこれを運搬中であった旨認定し、凶器準備集合罪の成立を認めました。

福岡高裁判決(昭和51年2月9日)

 中核派10数名の者は、政治集会の開催準備に従事していたものではあるが、それとともに革マル派が来襲すればかねて用意してあった木刀、鉄パイプ等を取って、直ちに共同して迎撃する意図を共通にしていたもので共同加害の目的を有し、かつその目的のもとに集合していた旨認定し、凶器準備集合罪の成立を認めました。

大阪地裁判決(昭和55年3月7日)

 中核派である被告人らが、ビラ貼りの際に鉄パイプを準備した目的が、革マル派に対する報復戦として先制攻撃をかけるためではなく、万一の場合に備えての受動的防衛的なものであったとして、凶器準備集合罪にいう共同加害目的が認められないとしました。

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