刑法(営利・わいせつ等略取・誘拐罪)

営利・わいせつ等略取・誘拐罪(4) ~「『わいせつの目的』『結婚の目的』『生命若しくは身体に対する加害の目的』とは?」を説明

 前回の記事の続きです。

 この記事では、営利・わいせつ・結婚・生命身体加害略取・誘拐罪(刑法225条)を「本罪」といって説明します。

「わいせつの目的」「結婚の目的」「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは?

 本罪の行為は、

「営利」「わいせつ」「結婚」「生命若しくは身体に対する加害」の目的で略取・誘拐すること

です(略取・誘拐の意義の説明は前の記事参照)。

 本罪は目的犯であり、上記の目的をもって行うことを要件とします。

 今回は、

  • わいせつの目的
  • 結婚の目的
  • 生命若しくは身体に対する加害の目的

について説明します。

「わいせつの目的」とは?

 「わいせつの目的」とは、

略取・誘拐された者をわいせつ行為の主体又は客体とする目的

をいいます。

 「わいせつ」には、姦淫も含まれます。

 わいせつ行為は、行為者自身のためであっても第三者のためであっても構いません。

 いかがわしい業務につかせる場合も「わいせつ」に含まれます。

「結婚の目的」とは?

 「結婚の目的」とは、

行為者又は第三者と結婚させる目的

をいいます。

 「結婚」とは、事実上の結婚で足り、法律上の婚姻であることを要しないと解されています。

「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは?

 「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは、

行為者又は第三者が略取・誘拐された者を殺害し、傷害し又はこれに暴行を加える目的

をいいます。

 臓器摘出の目的による略取・誘拐も「生命若しくは身体に対する加害の目的」に含まれるとする学説があります。

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