前回の記事の続きです。
この記事では、営利・わいせつ・結婚・生命身体加害略取・誘拐罪(刑法225条)を「本罪」といって説明します。
「わいせつの目的」「結婚の目的」「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは?
本罪の行為は、
「営利」「わいせつ」「結婚」「生命若しくは身体に対する加害」の目的で略取・誘拐すること
です(略取・誘拐の意義の説明は前の記事参照)。
本罪は目的犯であり、上記の目的をもって行うことを要件とします。
今回は、
- わいせつの目的
- 結婚の目的
- 生命若しくは身体に対する加害の目的
について説明します。
「わいせつの目的」とは?
「わいせつの目的」とは、
略取・誘拐された者をわいせつ行為の主体又は客体とする目的
をいいます。
わいせつ行為は、行為者自身のためであっても第三者のためであっても構いません。
いかがわしい業務につかせる場合も「わいせつ」に含まれます。
「結婚の目的」とは?
「結婚の目的」とは、
行為者又は第三者と結婚させる目的
をいいます。
「結婚」とは、事実上の結婚で足り、法律上の婚姻であることを要しないと解されています。
「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは?
「生命若しくは身体に対する加害の目的」とは、
行為者又は第三者が略取・誘拐された者を殺害し、傷害し又はこれに暴行を加える目的
をいいます。
臓器摘出の目的による略取・誘拐も「生命若しくは身体に対する加害の目的」に含まれるとする学説があります。