刑法(人身売買の罪)

人身売買の罪(1) ~「人身売買の罪とは?」「人身売買の罪の罪名」を説明

 これから6回にわたり、刑法226条の2の人身売買の罪を説明します。

人身売買の罪とは?

 人身売買の罪は、人身の売渡し及び買受け行為を処罰するために設けられた罪です。

 人身売買の罪は、刑法226条の2に規定があり、

第1項 人を買い受けた者は、3月以上5年以下の懲役に処する

第2項 未成年者を買い受けた者は、3月以上7年以下の懲役に処する

第3項 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、1年以上10年以下の懲役に処する

第4項 人を売り渡した者も、前項と同様とする

第5項 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、2年以上の懲役に処する

と規定されます。

人身売買の罪の罪名

第1項の罪名

 第1項は、人身売買罪のうち、人を買い受ける行為を処罰する規定です。

 罪名は、

  • 人身買受け罪

となります。

第2項の罪名

 第2項は、未成年者を買い受ける行為を処罰する規定です。

 罪名は、

  • 未成年者買受け罪

となります。

第3項の罪名

 第3項は、成人・未成年者を問わず、営利、わいせつ、結婚、生命若しくは身体に対する加害の目的で人を買い受ける行為を処罰する規定です。

 罪名は、

  • 営利人身買受け罪
  • わいせつ人身買受け罪
  • 結婚人身買受け罪
  • 生命身体加害人身買受け罪

となります。

第4項の罪名

 第4項は、人を売り渡す行為を処罰する規定です。

 罪名は、

  • 人身売渡し罪

となります。

第5項の罪名

 第5項は、所在国外に移送する目的で人を売買する行為を処罰する規定です。

 「所在国外」とは、人が現に所在している国の領域外を意味します。

 罪名は、

  • 所在国外移送人身買受け罪
  • 所在国外移送人身売渡し罪

となります。

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