前回の記事の続きです。
この記事では、所在国外移送略取罪、所在国外移送誘拐罪(刑法226条)を「本罪」といって説明します。
実行の着手、既遂時期
本罪の実行の着手時期は、
暴行・脅迫・欺罔・誘拐の手段を開始した時
です。
既遂時期は、
被害者を自己又は第三者の実力支配内に移した時
です。
本罪の成立を認めるに当たり、実際に略取・誘拐された者を国外に移送したかどうかは問いません(詳しくは前の記事参照)。
移送に着手する必要もありません。
身分犯の共犯
本罪が身分犯とみるかどうかについては、肯定説と否定説に分かれています。
所在国外に移送する目的を刑法65条(身分犯の共犯)にいう「身分」ではないと解すれば、国外移送の目的のない者が本罪の行為に加担しても、刑法65条の適用はないとなります。