かつて私は、仕事において、何かにつけてケチをつけてくる上司に苦しめられた経験があります。
今になって思えば、私はその上司に気に入られていなかったことが一つの原因であったと分かります。
人の意思決定というのは、理屈ではなく、感情に根付いて行われます。
好きか嫌いかなどの感情が最初にあって、その感情に後から理由づけをして意思決定をするという順番です。
理不尽な事実ですが、感情面で人に嫌われてしまうと、その後は何をやってもダメというのが現実です。
逆に、相手に好感を持ってもらえた場合は、その後は何をやっても大抵のことは好意的に捉えてもらえるというのが現実です。
これは、心理学的には、ハロー効果と呼ばれる現象に当たります。
ハロー効果とは、良い面でも悪い面でも、その人の目立つ特徴に引きずられて、全体の評価がきまってしまうという人間の心理法則をいいます。
好感が持てる相手に対しては、ハロー効果により、その人がとる行動にも好感がもてるという心理が働きます。
好感が持てない相手に対しては、ハロー効果により、その人がとる行動にも好感が持てないという心理が働きます。
職場において、ハロー効果はめちゃめちゃ強く働きます。
上司や先輩に好かれていれば、自分の意見や提案がスムーズに通り、自由と裁量を与えられたストレスのない仕事がてきます。
逆に、上司や先輩に好かれていなければ、当時の私のように、自分の行動をダメ出しされたり制限されるなど、自由と裁量のないストレスのある環境で仕事をしなければならなくなります。
残酷な事実ですが、上司や先輩から好かれているか、好かれてないかが、自分の職場内での評価や立ち回りを決めるのです。
もし、職場において、他人からキツイ当たりをされたり、粗末に扱われたりしているのであれば、その根本的な原因は、‶その人から好かれてない(敬意を持たれてない)″というのが答えになります。
なお、キツイ当たりをしてくる相手の人間性が未熟、人格がクソであるなど、相手に根本的な原因があるという答えもあるのですが、今回は敢えておいておきます。
(相手に原因があったとしても、‶その人から好かれてない ″という答えに結び付きますので)
当然のことですが、人間性が未熟、人格がクソであるなどのダークサイド側の人間に対しては、誰であろうと好かれる必要はなく、好かれようと努力してはいけないことを申し添えます。
【参考】ハロー効果はマジでやばい!研究例の紹介
刑事裁判
ペンシルべニア州で行われた研究で、刑事裁判の前に74人の被告人の魅力を評価しました。
その後、裁判結果を調べたところ、ハンサムな男性は、そうでない男性に比べて2倍の率で刑務所行きを免れていました。
また、被害者より容姿の優れている被告人の罰金は、平均5,623ドルであったのに対し、被害者より容姿の劣っている被告人は、平均でその2倍の罰金を科せられていることが分かりました。
刑事裁判でさえ、ハロー効果が働くということです。
恐ろしいですね。
ハンサムであるなど他人に好印象を与えられる人は、ハロー効果により、自分に有利な評価を他人からしてもらえるようになり、逆に、見た目の印象が悪い人は、ハロー効果により、自分に不利な評価を他人から受けやすくなることが証明された研究です。
選挙
ハロー効果は、選挙にも影響を及ぼすことが知られています。
カナダの連邦選挙委員会は、容姿の優れている候補者は、そうでない候補者より得票数が2.5倍も多いことを発見しました。
男女関係
美しい女性は、そうでない女性より簡単に男性を説得でき、ハンサムな男性は、そうでない男性より簡単に女性を説得できます。
「ただしイケメンに限る」というのは、ネタじゃなくて実際にあることです。
「ただしイケメンに限る」はハロー効果の産物です。
また、複数の研究で、男女を問わず、容姿の優れた人は、そうでない人と比べてより幸せで、頭が良くて、友好的で、好感度が高いと判断されることが分かっています。
企業CM
東京オートサロンに出展する自動車メーカーは、セクシーで美し女性モデルを起用します。
CMに美しい女性モデルを起用すると、男性はその車の速さ、魅力、高級感、デザイン性を高く評価することが分かっているからです。
まとめ
ハロー効果が人生を決めるといっても過言ではありません。
日常生活の些細なことでハロー効果は生み出され、作用しています。
例えば、気持ちの良いあいさつができるだけで、プラスのハロー効果を相手に生み出させることができます。
反対に、腕組をして会話をしてしまうだけで、相手に不快感を抱かせてマイナスのハロー効果を生み出せてしまいます。
人生の成功者とは、プラスのハロー効果を相手にガンガン生み出させる人といえるのではないでしょうか。
ハロー効果を意識して日々の生活を送りましょう。