刑法(逮捕監禁致死傷罪)

逮捕監禁致死傷罪(5) ~因果関係③「逮捕監禁行為と死傷の結果との間に第三者の行為が介在した場合でも、逮捕監禁致傷罪が成立する」を説明~

 前回の記事の続きです。

逮捕監禁行為と死傷の結果との間に第三者の行為が介在した場合でも、逮捕監禁致傷罪が成立する

 逮捕監禁行為と死傷の結果との間に第三者の行為が介在しても、死傷の結果につき逮捕監禁の危険が現実化したものとみられる場合には、逮捕監禁行為と死傷の結果との間の因果関係が肯定され、逮捕監禁致傷罪(刑法221条)が成立します。

 この点を判示した以下の判例があります。

最高裁決定(平成18年3月27日)

 道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した行為と同車に後方から走行してきた自動車が追突して生じた被害者の死亡との間に因果関係があるとされ、逮捕監禁致死罪の成立が認められた事例です。

 裁判所は、

  • 道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した行為と、同車に後方から走行してきた自動車が追突して生じた被害者の死亡との間には、同人の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても、因果関係がある

と判示し、逮捕監禁致死罪の成立を認めました。

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