刑法(未成年者略取・誘拐罪)

未成年者略取・誘拐罪(1) ~「未成年者略取罪、未成年者誘拐罪とは?」「保護法益」「犯罪の種類(継続犯又は状態犯)」「に関する特別刑法」などを説明

 これから9回にわたり、未成年者略取罪、未成年者誘拐罪(刑法224条)を説明します。

 この記事では、未成年者略取罪、未成年者誘拐罪を「本罪」といって説明します。

未成年者略取罪、未成年者誘拐罪とは?

 未成年者略取罪、未成年者誘拐罪は、刑法224条に規定があり、

未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する

と規定されます。

 本罪は、未成年者を略取し又は誘拐する行為を処罰する規定です。

 未成年者を略取した場合は、「未成年者略取罪」が成立します。

 未成年者を誘拐した場合は、「未成年者誘拐罪」が成立します。

保護法益

 本罪の保護法益は、

  • 略取・誘拐された者の自由及びその安全

です。

 本罪の保護法益は、

  • 略取・誘拐された者の自由と保護監督者の監護権の両方

と解する説もありますが、

  • 略取・誘拐された者の自由及びその安全

とする見解が近時の多数説となっています。

犯罪の種類(継続犯又は状態犯)

 本罪について、学説では、継続犯であるとする「継続犯説」と、状態犯であるとする「状態犯説」の2説があります(状態犯と接続犯の説明は前の記事参照)。

 判例・裁判例も、本罪が継続犯である解しているものもれば、状態犯であると解しているものがあります。

本罪に関する特別刑法

 本罪に関する特別刑法として、児童福祉法違反があります。

 略取・誘拐罪は、人身売買と密接な関連を持ちます。

 人身売買の取締りについて、児童福祉法が、

  1. 児童に対し刑罰法令に触れる行為をするおそれのある者等に児童を引き渡す行為
  2. 営利を目的として、児童の養育をあっ旋する行為
  3. 児童の心身に有害な影響を与える行為

をさせる目的をもって、児童を自己の支配下に置く行為をそれぞれ禁止し(児童福祉法34条1項7号~9号)、禁止違反に対する罰則として3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその併科を規定しています(児童福祉法60条2項)。

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