刑法(未成年者略取・誘拐罪)

未成年者略取・誘拐罪(6) ~「略取・誘拐された者の場所的移動の要否」を説明

 前回の記事の続きです。

 未成年者略取罪、未成年者誘拐罪(刑法224条)の説明です。

略取・誘拐された者の場所的移動の要否

 略取・誘拐は、略取・誘拐された者を場所的に移動させることを要するかどうかという点について、肯定説と否定説とに分かれています。

 肯定説は、

  • 拐取罪については場所的移動がその本質的要素であること(身体の移動の自由は身体の運動の自由と異る点において、拐取を逮捕・監禁と区別して保護すべき実益がある)
  • 場所的移動は被拐取者の帰還を著しく困難にし、監督権者があるときは監督権の行使をも防げて被拐取者の救済を困難にすること

を理由としています。

 否定説は、

  • 保護監督者を欺罔し、あるいはこれに暴行・脅迫を加えて立ち去らせるような方法によっても犯し得ること

を理由としています。

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