刑法(所在外国移送略取・誘拐罪)

所在国外移送略取・誘拐罪(4) ~「実行の着手、既遂時期」「身分犯の共犯」を説明

 前回の記事の続きです。

 この記事では、所在国外移送略取罪、所在国外移送誘拐罪(刑法226条)を「本罪」といって説明します。

実行の着手、既遂時期

 本罪の実行の着手時期は、

暴行・脅迫・欺罔・誘拐の手段を開始した時

です。

 既遂時期は、

被害者を自己又は第三者の実力支配内に移した時

です。

 本罪の成立を認めるに当たり、実際に略取・誘拐された者を国外に移送したかどうかは問いません(詳しくは前の記事参照)。

 移送に着手する必要もありません。

身分犯の共犯

 本罪が身分犯とみるかどうかについては、肯定説と否定説に分かれています。

 所在国外に移送する目的を刑法65条(身分犯の共犯)にいう「身分」ではないと解すれば、国外移送の目的のない者が本罪の行為に加担しても、刑法65条の適用はないとなります。

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