学習

人の意思決定は、理屈ではなく「前提の信念」に基づいて行われる

意思決定は「前提の信念」に基づいて行われる

 人の意思決定は、『こうあるべきだ』などといった、それぞれの人が前提として持っている信念に基づいて行われます。

 例えば、『若手社員は朝早く来て社内清掃をすべきだ』という前提の信念を持っている上司は、掃除をしない若手を見ると「若手なんだから朝早く来て掃除をしろ」という指示を出します。

 逆に、『若手社員だけが朝早くきて社内清掃をするのは時代錯誤だ』という前提の信念を持っている上司は、「社内清掃は当番制にしよう」という指示を出します。

 前提の信念は、人の意思決定に直接影響を与え、その人の言動と行動を決めるのです。

付き合う人は、前提の信念が合うかどうかで決める

 人間関係を構築するにあたり、相手が持つ前提の信念が何なのかを推し量る癖をつけることをおすすめします。

 相手の前提の信念に自分が共感できるのであれば、その相手と良い関係を築ける可能性は高いです。

 そういう人に対しては、積極的に絡んでいくとよいです。

 自分に良い刺激を与えてくれます。

 しかし、相手の前提の信念に合わないのであれば、その相手とは良い関係を築けないことが分かります。

 そういう人に対しては、積極的に距離をとった方がよいです。

 一緒にいるとストレスを感じやすく、人生の時間を浪費します。

相手の「前提の信念」は簡単に変えられない

 前提の信念は、

  • 好きか、嫌いか
  • 気持ちい良いか、気持ち悪いか
  • 快楽を感じるか、不快を感じるか

といった感情に根付いて作られています。

 相手の前提の信念を変えようとし、理屈を並べて説き伏せようとしても通じません。

 みなさんも、どうやっても相手に理屈が通用せず、困った経験があると思います。

 前提の信念は、感情で構成されているため、理屈では変えることができないのです。

 私たちは、

  • 相手の考えを変えたい
  • 自分の考えを相手に分からせたい

と思ったときに、相手に不利で自分に有利な事実や数字を突きつけたくなりますが、これは最適なアプローチではありません。

 自分が正しく、他人が間違っている証拠を用意して議論に挑めば戦いになります。

 自分が間違っている証拠を提示された相手は、自分の考えを変えようとするどころか、不快感から拒絶反応を示すか、反証を探そうとします。

相手の「前提の信念」を変えたければ感情を用いる

 他人が、相手の前提の信念を変えるための手段が1つあります。

 それは、感情を用いることです。

 前提の信念は感情に根付いて構築されているので、感情に揺さぶりをかける方法が有効になります。

 もっとも簡単な方法が、「キレる、怒鳴る、恫喝する」などの相手の恐怖心をあおるアプローチをすることです。

 恐怖は瞬時に神経をかけ巡り、考えるすきを与えません。

 恐怖により相手の前提の信念をへし折ることで、相手の行動を自分の都合に合うように変えることができます。

 ゲスなやり方ですが確かな効果があります。

 だだ、これをやると副作用として、周囲から

  • 不快な人間
  • 気持ちが悪い人間
  • 殺してやりたい人間

といった認定をされますが、その点は自己責任です。

 とはいえ、相手の前提の信念を変えなければならない緊急事態であれば、「キレる、怒鳴る、恫喝する」という方法はありだと思います。

 理想の方法は、優しさや愛のある言葉と行動で相手の感情に訴えかけて、相手の前提の信念に変化を与えることです。

 しかしながら、この方法は、全く響かない相手もいるので、結果が出にくいですし、すべると冷ややかな目で見られて痛い感じになります。

 そもそも論を話すと、前提の信念は、他人が変えようとするものではありません。

 前提の信念は、自分の意思で変える性質のものです。

 前提の信念が合わない相手がいたら、その人から距離をとる選択をすればよいのです。

 現代はインフラがしっかりと整備されて一人でも生きていける世の中なので、付き合う人が一時的にいなくなったとしても問題ありません。