前回の記事の続きです。
拘禁刑・拘留とは?
拘禁刑(刑法12条)、拘留(刑法16条)は、いずれも受刑者の自由を奪う自由刑です。
拘禁刑とは?
拘禁刑(刑法12条)は、受刑者を刑事施設に拘置する刑罰であって、それぞれ無期拘禁刑と有期拘禁刑の区別があります。
無期拘禁刑は、期限なしで一生にわたり刑事施設で拘禁刑を受けるというものです。
有期拘禁刑は、期限ありで刑事施設で拘禁刑を受けるというものです。
期限は、1月以上20年以下(刑法12条1項)が基本ですが、加重(かちょう)する場合には30年にまで上げることができ、減軽する場合においては1月未満に下げることができます(刑法14条2項)。
「拘禁刑」の創設と「懲役・禁錮」の廃止
「拘禁刑」は、刑法改正により、「懲役」と「禁錮」に代わり、令和7年6月1日から新たに施行された刑罰です。
「懲役」は、刑務作業が刑の本質的要素であるため、どの懲役受刑者も刑務作業に一定の時間を割かなければならず、改善更生や社会復帰のために必要な指導等を行う時間を確保することが困難な場合あるという課題がありました。
「禁錮」は、懲役と異なり、刑務作業は科せられず、禁錮受刑者の希望により刑務作業に就くことができるというものであり、改善更生や円滑な社会復帰に有用な刑務作業であっても、受刑者本人が希望しない限り、その刑務作業を実施させることができないという課題がありました。
そして、こららの懲役・禁錮の課題を解決するために、拘禁刑が創設されました。
拘禁刑は、刑法12条3項で
「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」
と規定し、個々の受刑者の特性に応じて、改善更生・再犯防止のために必要な刑務作業を行わせ、又は必要な指導を行うことが可能としました。
つまり、拘禁刑は、
- 懲役と異なり、刑務作業を必須としないこと
- 禁錮と異なり、受刑者本人が希望しなくても、刑務作業を行わせることができるようになったこと
が大きな変更点になります。
拘留とは?
拘留は、刑事施設に拘置する自由刑であり、拘留の刑期は1日以上30日未満です(刑法16条)。
拘留に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な刑務作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができます。
拘留の刑が規定されている罪として、
があります。