刑法(逃走の罪)

単純逃走罪(3)~「『逃走』とは?」を説明

 前回の記事の続きです。

本罪の行為(「逃走」とは?)

 単純逃走罪(刑法97条)の行為は、

  • 「逃走」すること

です。

 「逃走」とは、

  • 拘禁から離脱すること

をいいます。

 単純逃走罪の手段は、加重逃走罪の規定する手段を除き、手段・方法を問いません。

 逃走の手段として、加重逃走罪(刑法98条)の規定する手段(拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して、逃走)を用いる場合は、加重逃走罪により処罰されることになります。

逃走した時間の長短は単純逃走罪の成立に影響を与えない

 「逃走」は、一時的離脱で足ります。

 なので、離脱した時間の長短は、単純逃走罪の完成に影響を与えません、

不作為による逃走

 不作為による逃走が認められるかについては見解が分かれており、

  • 不作為による逃走は考えられないとする見解
  • 例えば、被拘禁者を乗せた車が、運転者の過誤によって走り去るのに、被拘禁者がこれを利用する意思でそれにまかせる場合のように、不作為による逃走も考えられないではないとする見解

があります。

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