これから4回にわたり、看守者逃走援助罪(刑法101条)を説明します。
看守者逃走援助罪とは?
看守者逃走援助罪は、刑法101条において、
法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、1年以上10年以下の拘禁刑に処する
と規定されます。
看守者逃走援助罪は、
被拘禁者の看守又は護送の任務を有する者が、その職務に反して被拘禁者を逃走させた場合に、これを処罰することとしたもの
です。
本罪は、職務違反という点が重視され、法定刑も「1年以上10年以下の拘禁刑」と重く定められています。
未遂
看守者逃走援助罪は、未遂も罰せられます(刑法102条)。
看守者逃走援助罪の性格
看守者逃走援助罪の性格は、
看守者等がその職務に反して、本来逃走の教唆や幇助とされるような行為をすることにつき、これを独立の罪として刑も重く定めることとしたもの
と解するのが相当とされます。
逃走援助罪との関係
看守者逃走援助罪と逃走援助罪(刑法100条)との関係につき、
- 看守者逃走援助罪を逃走援助罪の身分による加重類型(不真正身分犯)とする見解
- 看守者逃走援助罪と逃走援助罪は行為態様が相違しており、看守者逃走援助罪は逃走援助罪の加重的身分犯ではなく、構成的身分犯(真正身分犯)とする見解
があります。
国外犯
看守者逃走援助罪については、刑法4条の公務員の国外犯に係る規定の適用があります。
したがって、本罪は、国内ばかりでなく国外において適法に身体の自由を拘束された者を着守、護送する任務についた公務員についても適用されます。
例えば、国外に逃亡中に逮捕された者の身柄引取りのために赴いた捜査関係の公務員によって本罪が犯されたときは、それが国外であっても本罪で処罰されます。