前回の記事の続きです。
「虚偽の陳述」と「証言の黙秘」と偽証罪の成否の関係
偽証罪(刑法169条)の行為は、「虚偽の陳述」をすることです。
この記事では、虚偽の陳述と証言の黙秘の関係を説明します。
虚偽の陳述は、まったく黙秘した場合は偽証罪は成立しません。
しかし、一部を黙秘して全体として陳述内容を虚偽ならしめた場合には偽証罪が成立します。
詳細は以下のとおりです。
単に事実をすべて黙秘してまったく陳述しない場合は、偽証罪ではなく、証言拒否罪が成立する
単に事実をすべて黙秘しまったく陳述しない場合は、証言拒否罪(民訴法200条、刑訴法161条等)が規定されていることから見て、証言拒否罪を構成するのは別として、偽証罪にいう「虚偽の陳述」と認めることはできないとされます。
証人が尋問に応じて陳述している際、自己の記憶する事項のあるものについて黙秘し、その結果、全体としての陳述内容を虚偽ならしめた場合には、一連の行為をとらえて「虚偽の陳述をした」ものと評価し、偽証罪の成立を認めることができる
証人が尋問に応じて陳述している際、自己の記憶する事項のあるものについて黙秘し、その結果、全体としての陳述内容を虚偽ならしめた場合には、一連の行為をとらえて「虚偽の陳述をした」ものと評価し、偽証罪の成立を認めることができるとされます。