刑法(特別公務員職権濫用罪)

特別公務員職権濫用罪(6)~「公務員職権濫用罪と他罪との関係」を説明

 前回の記事の続きです。

公務員職権濫用罪と他罪との関係

 特別公務員職権濫用罪(刑法194条)と

  1. 逮捕監禁罪(刑法220条
  2. 公務員職権濫用罪(刑法193条
  3. 特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条

との関係を説明します。

① 逮捕監禁罪との関係

 特別公務員職権濫用罪は、逮捕監禁罪(刑法220条)の特別規定に当たります。

 したがって、特別公務員職権濫用罪が成立するときは、―般の逮捕、監禁罪は成立しません。

② 公務員職権濫用罪との関係

 公務員職権濫用罪(刑法193条)は、

公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときに成立する犯罪

です。

 公務員職権濫用罪は、職権濫用罪の一般的規定であることから、特別公務員職権濫用罪が成立するときは、公務員職権濫用罪は成立しません。

③ 特別公務員暴行陵虐罪との関係

 特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)は、

  1. 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたとき
  2. 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者が、その拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたとき

に成立する犯罪です。

 暴行を手段として特別公務員職権濫用罪がなされたときは、特別公務員職権濫用罪と特別公務員暴行陵虐罪の両罪が成立し、両罪は観念的競合の関係に立つことが通常であると解されています。

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