道路交通法違反

道路交通法の車両(5)~「『移動用小型車』『身体障害者用車椅子』『遠隔操作型小型車』の意義」を説明

 前回の記事の続きです。

「移動用小型車」の意義

 移動用小型車の意義は、道交法2条1項11号の3において、

  • 人の移動の用に供するための原動機を用いる小型の車(遠隔操作により通行させることができるものを除く。)であって、車体の大きさ及び構造が他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当するもののうち、身体障害者用の車以外のものをいう

と規定さます。

 移動用小型車は、歩行者と同じように扱われる小型の電動車両のことであり、例えば、

が該当します。

 移動用小型車の規定は、道路交通法改正(令和5年4月1日施行)により創設され、法整備がなれました。

 移動用小型車を通行させている者は歩行者の扱いになります(道交法2条3項1号)。

 通行方場所は、歩行者と同じ、歩道、路側帯、道路の右側端です。

 移動用小型車は歩行者として扱われます。

 通行方法は、歩行者相当の交通ルールに従います(信号や道路標識等に従う、横断歩道の通行等)。

 移動用小型車の車両要件は、内閣府令で定める基準に該当するもの(電動車椅子相当)とされます(道交法施行規則1条の4)。

 移動用小型車の形式認定の手続等については、道交法施行規則39条の4に定めがあります。

「身体障害者用車椅子」(身体障害者用の車)の意義

 「身体障害者用車椅子」(身体障害者用の車)の意義は、道交法2条1項11号の4において、

  • 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車(原動機を用いるものにあっては、内閣府令で定める基準に該当するものに限り、遠隔操作により通行させることができるものを除く。)をいう

と規定されます。

 身体障害者用車椅子を通行させている者は歩行者の扱いになります(道交法2条3項1号)。

「身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するため」とは?

 「身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するため」とは、車椅子の属性を示すものです。

 なので、車椅子を用いる個々の者の事情によって、身体障害者用車椅子に該当するか否かが左右されるものではありません。

 したがって、健常者が身体障害者用の車椅子を用いた場合にも歩行者として取り扱われることになります。

「原動機を用いるものにあっては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る」とは?

 「原動機を用いるものにあっては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る」について、その基準は道交法施行規則1条の5に定めがあります。

 身体障害者用車椅子の形式認定の手続等については、道交法施行規則39条の5に定めがあります。

「遠隔操作型小型車」の意義

 「遠隔操作型小型車」の意義は、道交法2条1項11号の5において、

  • 人又は物の運送の用に供するための原動機を用いる小型の車であって遠隔操作により通行させることができるもののうち、車体の大きさ及び構造が歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当するものであり、かつ、内閣府令で定める基準に適合する非常停止装置を備えているものをいう

と規定されます。

 遠隔操作型小型車は、例えば、

  • 宅配ロボット
  • 警備ロボット

など、遠隔操作で走行する小型の車両が該当します。

 遠隔操作型小型車は、自動配送サービスの実現のため、低速・小型の自動配送ロボットについての制度整備が必要から、道路交通法改正(令和5年4月1日施行)により創設されたものです。

 遠隔操作型小型車は歩行者の扱いになります(道交法2条3項1号)。

 通行方場所は、歩行者と同じ、歩道、路側帯、道路の右側端です。

 通行方法は、歩行者相当の交通ルールに従う(信号や道路標識等に従う、横断歩道の通行等)とされ、歩行者に進路を譲らなければならないとされます。

 遠隔操作型小型車の車両要件は、歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当するもの(電動車椅子相当)とされます(道交法施行規則1条の6)。

 遠隔操作型小型車の形式認定の手続等については、道交法施行規則39条の6に定めがあります。

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