道路交通法違反

無免許運転(4)~「運転運許の効力発生時期」を説明

 前回の記事の続きです。

運転運許の効力発生時期

 運転免許の効力発生時期はいつかについて、判例の大勢は、

申請人が現実に運転免許証を受け取ったときに効力が発生する

としています。

名古屋高裁金沢支部判決(昭和33年3月20日)

 裁判官は、

  • 運転資格は必ずしも免許証に記載された交付年月日から生ずるとは限らない
  • 免許証の交付を受けていないのに自動車を運転した以上、例えその後において運転日より以前の交付年月日の免許証の交付を受けても、無免許運転の責を免かれることはできない

と判示しました。

最高裁判決(昭和33年10月12日)

 裁判官は、

  • 道路交通取締法第9条2項(現行法:道路交通法第92条1項)は、自動車運転試験に合格した者に対し「運転免許証を交付してこれを行なう。」と規定しているので、自動車の運転資格は、自動車運転試験に合格したのみでは足らず、運転免許は運転免許証の交付があったときに初めてその効力を生ずるのであり、右免許証が現実に交付されていない限り運転試験に合格した者であっても運転資格を持たないものと解すべきである

と判示しました。

東京高裁判決(昭和44年9月25日)

 裁判所は、

  • 道路交通法には「交付」の意義を定めた別段の規定はないが、法律上における通常の用語例にしたがえば、「交付」とは、目的物の所持の移転、いいかえれば、現実にその物が授受されることをいうのであって、道路交通法及びその関係法令の諸法令の諸規定を調べてみても、「交付」という用語を、特に右と異なる意義に用いたと思われるようなものは全く見当らない
  • そして法第112条によれば免許証の交付を受けようとする者は交付手数料を納めなければならないと規定しているので、公安委員会が警察当局に伝達したとしても、申請人が手数料を納めない限り当該免許証の交付は受けられないことになっている
  • したがって原判決の公安委員会が当該免許証を作成して、当該警察当局に交付を伝達したとき「交付」は終ったとする見解は支持できない 公安委員会の行う免許試験に合格したのち、公安委員会の作成免許証を申請人が現実に受領したとき交付行為は終わり、当該運転免許の効力が発生する

と判示しました。

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