性的姿態撮影等処罰法

性的影像記録提供等罪(1)~「性的影像記録提供等罪とは?」「保護法益」「主体(犯人)」を説明

 これから5回にわたり、性的影像記録提供等罪(性的姿態撮影等処罰法3条)を説明します。

性的影像記録提供等罪とは?

 性的影像記録提供等罪は、性的姿態撮影等処罰法3条において、

1項 性的影像記録(前条第1項各号に掲げる行為若しくは第6条第1項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第1項第4号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第5条第1項第4号に掲げる行為により同項第1号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する

2項 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

と規定されます。

 性的影像記録提供等罪は、

  1. 性的影像録を特定・少数の者に提供する行為
  2. 性的影像記録を不特定・多数の者に提供する行為、又は、公然と陳列する行為

を処罰するものです。

1項の規定

 1項は、性的な姿態の撮影行為により生成された被害者の性的姿態の記録を他人に提供する行為を処罰する規定です。

 性的姿態等撮影罪の撮影行為により生成された被害者の性的姿態の記録が他に提供されると、それが拡散し、

  • 被害者の性的な姿態が他の機会に他人に見られる危険が生じること

   さらには、

  • 不特定又は多数の者に見られるという危険を生じること

から、性的姿態等撮影罪の行為により生成された被害者の性的姿態の記録を他人に提供する行為を処罰するものです。

2項の規定

 第2項は、性的な姿態の撮影行為により生成された被害者の性的姿態の記録を不特定・多数の者に提供する行為、又は公然と陳列する行為を処罰する規定です。

 不特定・多数の者に対して被害者の性的影像記録を提供する行為がなされると、被害者の性的な姿態を不特定・多数の者に見られるという危険を現実化させるという点で、法益侵害の程度が大きいです。

 そのため、2項の性的影像記録を不特定・多数の者に提供する行為の法定刑は

  • 5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

とされ、1項の性的影像記録を他人に提供する行為の法定刑である

  • 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する

より重くなっています。

 2項の性的影像記録を公然と陳列する行為についても、それがなされると、性的影像記録を不特定又は多数の者において認識し得ることとなり、不特定又は多数の者に対する提供行為と同様、法益侵害の程度が大きいことから、同様に法定刑は1項よりも重いものとなっています。

保護法益

 性的影像記録提供等罪の保護法益は、

自己の性的な姿態を他人に見られないという性的自由・性的自己決定権

です。

主体(犯人)

 主体(犯人)に制限はありません。

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