性的姿態撮影等処罰法

性的姿態等影像送信罪(1)~「性的姿態等影像送信罪とは?」「保護法益」「主体(犯人)」を説明

 これから4回にわたり、性的姿態等影像送信罪(性的姿態撮影等処罰法5条)を説明します。

性的姿態等影像送信罪とは?

 性的姿態等影像送信罪は、性的姿態撮影等処罰法5条において、

1項 不特定又は多数の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

1号 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第3号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為

2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は13歳以上16歳未満の者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、当該13歳以上16歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為

2項 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする

3項 前二項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない

と規定されます。

 性的姿態等影像送信罪は、不特定・多数の者に性的影像記録を送信する行為(例えば、インターネットでライブ配信する行為)を処罰するものです。

1項の規定

 1項の性的姿態等影像送信罪は、被害者の性的な姿態の影像をインターネットでライブ配信するなどの行為が、不特定・多数の者に対してなされた場合には、被害者の性的な姿態を不特定・多数の者に見られるという危険が現実化することからこれを処罰するものです。

2項の規定

 2項の性的姿態等影像送信罪は、1項の性的姿態等影像送信罪の行為により影像送信された影像を、更に不特定・多数の者に対して送信(転送)する行為する行為(二次影像送信行為)を処罰するものです。

3項の規定

 3項は、性的姿態等影像送信罪の送信行為が、不同意わいせつ罪刑法176条)又は監護者わいせつ罪刑法179条1項)にも当たる場合に、性的姿態等影像送信罪の成立により不同意わいせつ罪又は監護者わいせつ罪の成否が影響を受けるものでないことを明らかにしたものです。

 被害者に対し、被害者に同意する意思がないのに被害者自身の性器や乳房を露出した姿態をとらせてそれを自撮りさせるなどして撮影させた場合、不同意わいせつ罪又は監護者わいせつ罪が成立する場合があります。

※ 詳しくは不同意わいせつ罪(10)の記事参照

保護法益

 性的姿態等影像送信罪の保護法益は、

自己の性的な姿態を他人に見られないという性的自由・性的自己決定権

です。

主体(犯人)

 主体(犯人)に制限はありません。

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