前回の記事の続きです。
事後加重収賄罪の罪数の考え方
「事後加重収賄罪」と「単純収賄罪・受託収賄罪・事前収賄罪(刑法197条)」、「第三者供賄罪(刑法197条の2)」との関係
事後加重収賄罪(刑法197条の3第2項)の場合は、事前加重収賄罪(刑法197条の3第1項)の場合と異なり、
を吸収するものではありません(事前加重収賄罪は①②の罪を吸収することの説明は贈収賄罪の罪数(4)の記事参照)。
事後加重収賄罪の「職務上不正な行為」が他の犯罪を構成する場合の罪数
事後加重収賄罪の構成要件的行為は賄賂の収受・要求・約束です。
事後加重収賄罪の「職務上不正な行為」が他の犯罪を構成する場合について、他の犯罪は、事後加重収賄罪の構成要件的行為ではなく、事後加重収賄罪の原因であるので、他の罪と事後加重収賄罪は併合罪となります。
この点に関し、最高裁決定(昭和32年12月5日)は、日国鉄の資材係職員で資材の保管出納の職務に従事する者が、職務上保管中の中古のレールを不正に融通した上で賄賂を収受した事案において、業務上横領罪と事後加重収賄罪が併合罪の関係になるとしています。