人は、頭の中で、重要なこと、重要でないことを仕分けします。
重要性の判断は、どのような要素をもって行われるのでしょうか?
その要素とは、
- 感情の強さ
- 思い浮かぶ容易さ
です。
感情が乗っかる出来事・体験・観念というのは、頭の中に強く刻み込まれます。
そのため、簡単に思い出すことができます。
脳は、「重要なことは何か?」を考えたときに、簡単に思い浮かんでくる観念を、重要性が高いと判断します。
感情が かき立てられる観念というのは、簡単に思い浮かぶ観念であるため、思考が同じところで、繰り返しループします。
思い出すたびに感情が かき立てられ、だからこそ、気になって頻繁に思い出すという
思考の自己増殖的な連鎖
が起きるため、脳は、「その観念は重要なことなんだ」という認知(錯覚)します。
危険・不安を感じることは重要と判断される
危険・不安を感じることは、脳が重要なことと判断します。
危険・不安を感じることは、感情が かき立てられ、繰り返し思い浮かんでしまうからです。
危険・不安は、脳が重要と判断する観念なので、他人をコントロールするのに使われたりします。
「もし〇〇したらどうするんだ!?」
「そんなことしたら大変なことになるぞ!!」
という感じて、危険や不安をあおることで、他人を心理的にコントロールすることが容易くなります。
相手に恐怖や脅威を与える あおり運転 のような行為なので、効果は高いです。
危険・不安のあおりは、政策的に利用される
脳が、危険・不安を重要なことと認知する性質は、政策的に利用されます。
分かりやすい例が、報道メディアです。
報道メディアは、広告収入型ビジネスなので、視聴率やアクセスを集めなければなりません。
世間の注目を集めるために、政策的に、危険・不安をあおるネタが報道されます。
コロナウィルスの感染者数、災害・事故・事件などの不安・危険に関する報道は、世間の注意を引きます。
報道を見た一部の人たちが不安に陥って騒ぎ立て、感情的な反応を起こすと、その感情的な反応自体がニュースになり、それがまた新たな報道を促し、それがまた不安をあおり、大勢を巻き込んでいきます。
しまいには、強力な社会現象を起こしてしまうまでに成長します。
2020年にコロナウィルスの感染拡大で起こった トイレットペーパー や マスク の買い占め騒動がよい例です。
報道メディアとしては、騒動が起こることで、視聴率やアクセスが稼げ、大きな収益をあげることができるので、ビジネス的には成功です。
それゆえ、報道メディアは、不安をあおるニュースを流し続けようと画策し、故意に不安をあおるサイクルを拡大させようとします。
脳が危険・不安を重要なことと認知する性質を政策的に利用するのは、報道メディアだけではありません。
政治、公共機関、会社はもちろんのこと、家庭、友人関係など、身近なところでも政策的に利用されています。
脳が危険・不安を重要なことと認知する性質の政策的利用を仕掛けられる側になる場合は、相手の危険や不安をあおる意図を見破れること大切になります。