前回の記事の続きです。
1個の遺棄行為によって数名を遺棄した場合の罪数(観念的競合)
1個の遺棄行為によって数名を遺棄した場合には、遺棄罪(刑法217条)は個人的法益に対する犯罪である上、各被害者ごとに生命・身体に対する危険が発生したのであるから、被遺棄者一人ごとに遺棄罪が成立し、各遺棄罪の関係は、観念的競合になります。
遺棄罪と略取罪・誘拐罪との関係
幼児を略取又は誘拐して遺棄した場合には、略取・誘拐罪と遺棄罪は牽連犯であるとする見解がありますが(学説)、略取又は誘拐と遺棄との間に、通常、手段結果の関係があるとは考えられないので、併合罪になると解されます。
遺棄罪、保護責任者遺棄罪、遺棄致死傷罪、保護責任者遺棄致死傷罪の記事一覧