学習

【利用可能性ヒューリスティック】 ~人は、『他人より、自分の方が頑張っている』と錯覚する~

 人は、他人より、

  自分の方が頑張っている

  自分の方が貢献度が高い

  自分の方が有能である

と錯覚する心理傾向をもっていることについて書きます。

利用可能性ヒューリスティック

 人は、

思い出しやすい記憶情報を優先的に使って、物事を判断する

という思考の癖をもっています。

 この思考の癖を、

利用可能性ヒューリスティック

といいます。

 人は、簡単に利用できる記憶情報に頼って、物事の判断や意思決定を行いがちです。

貢献度についての質問

 職場において、社員全員に「会社における あなた自身の貢献度のパーセンテージはどのくらいですか?」と質問したとします。

 十中八九、社員全員の貢献度の合計は、100%を上回ります(100%越えは本来ありえません)。

 その理由は、利用可能性ヒューリスティックで説明がつきます。

 自分のやった仕事は、相手のやった仕事より、はるかにはっきりと思い出すことができます。

 この記憶情報の 取り出しやすさ の差が、そのまま自分と他人の貢献度の判断の差として現れます。

 自分のやった仕事の記憶情報は、鮮明に、はっきりと思い出せるため、自分がやった仕事の貢献度は、他人がやった仕事の貢献度より高く見積もってしまうのです。

他人も自分自身の方が優れていると思っている

 人は、チームで仕事をする場合、「自分の方が、他のメンバーより頑張っており、他のメンバーの貢献度は、自分より小さい」と考えがちです。

 これは、利用可能性ヒューリスティックの影響です。

 頑張っている人ほど、この心理傾向に陥ります。

 この心理傾向にハマると、チーム内で軋轢が生じやすくなります。

 あなたが「自分は他のメンバーより貢献度が高い」と思っているとき、他のメンバーも「自分は他のメンバーより貢献度が高い」と思っている可能性が高いです。

 このことは、誰もが肝に銘じる必要があります。