何に注目すべきかを一瞬で選ぶ力「選択的注意」
人は、あふれる情報の中で、「何に注目すべきか」を自動で選びとる思考の癖を持っています。
この「何に注目するか」を自動で選びとる思考の癖を「選択的注意」と呼びます。
何に注目するかを自動で選ぶ思考の癖がなければ、人は、あふれる情報に押しつぶされて、環境のコントロール不能感からくるストレスに苦しむことになります。
心の安定のためにも、人は選択的注意を無意識のうちに行っているのです。
選択的注意は、脳が注意を向ける必要がないと判断したものをすべて認識から振るい落す作用をもちます。
人が何に注目し、何を無視するかに違いがでるのは、選択的注意の性格が、人それぞれ異なるためです。
特定の事実や経験だけを選びとって記憶する能力「選択的記憶」と「選択的記憶喚起」
脳には、あるものごとに注意を集中し、特定の事実や経験だけを選びとって記憶する能力があります。
この能力を「選択的記憶」と呼びます。
そして人は、選択的に記憶したことばかりを思い出します。
この脳の特性を「選択的記憶喚起」と呼びます。
選択的注意、選択的記憶、選択的記憶喚起はワンセットになって動きます。
選択的注意により特定のものごとに注目し、選択駅記憶により注目を向けたその特定のものことを記憶します。
そして、選択的記憶喚起により、注目を向けた特定のものごとばかりを思い出します。
人がどんな風に世界を見つめ、どんな風に記憶し、どんな風に過去を思い出すのかは、その人がもつ選択的注意、選択的記憶、選択的記憶喚起の性格にかかっています。
選択的注意、選択的記憶、選択的記憶喚起の性格が悪いと、あなたの人生を苦しいものに変える事態が起こります。
ネガティブとポジティブ
喜びやポジティブな要素に自然と目がいき、選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起が喜びやポジティブなものごとに向く人は、世界は喜びにあふれているという楽観的な世界観を抱くことができます。
しかし、危険やネガティブな要素につい目をとめてしまい、選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起が危険やネガティブなものごとに向く人は、世界は苦しさに満ちているという悲観的な世界観を抱きます。
同じ状況でも、ポジティブに選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起が向けば、楽観的な心の傾向を助長し、人生は楽しいものという認知を維持できます。
しかし、ネガティブに選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起が向けば、ネガティブな思考のスパイラルが起こり、悲観的な心の傾向にさらに拍車がかかり、人生が地獄になります。
フラッシュバック対策 ~過去は思い出さず、未来を思考する~
人間の脳は、意識とは無関係に24時間動き続けます。
そして、脳は、ふとした瞬間に過去の記憶を自動で呼び起こします。
そのため、選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起がネガティブに向いてしまう人は、ふとした瞬間に、過去の恥ずかしかったり、失敗した記憶が自動で思い出され、フラッシュバックを起こしてしまいます。
しかも、一度、恥ずかしかったり、失敗した記憶が喚起されると、その記憶は再び喚起されやすい状態に脳内にセットされます。
したがって、何度も何度もその恥ずかしかったり、失敗した記憶が喚起されるループに入り、フラッシュバックが起こり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような状態になります。
対策
選択的注意・選択的記憶・選択的記憶喚起がネガティブに向いてしまう人は、過去を思い出してしまう隙を作ってはいけません。
脳が自動で思い出す過去が、自分のネガティブな過去の経験になるのだから仕方ありません。
過去を思い出さないためには、未来を思考することです。
私の場合は、自分の目指す未来を思考するようにしています。
未来を思考することで、脳が自動で過去の記憶を喚起してくるのを防ぐことができます。
未来を思考するのは疲れるが、フラッシュバックして精神を消耗するよりはマシ
前提として、未来を思考するのは結構つかれます。
人間の脳は、現実第一主義なので、現実に起こったことは、簡単に記憶して思い出すことができます。
しかし、現実に起こっていない未来のことのは、思考することが簡単ではなく、思考するのに脳がエネルギーを必要とするのです。
よって、未来を思考することは、脳が疲れるのでしんどいのです。
脳は楽をしたがる臓器なので、しんどいことはやりたがりません。
とはいえ、選択的記憶喚起により、ネガティブな過去を自動で思い出してしまってフラッシュバックに苦しむより、未来を思考することでフラッシュバックを回避した方が圧倒的に良いと思います。
未来を思考する癖がついた方が人生が好転します。
選択的記憶喚起により、ネガティブな過去を自動で思い出してしまった場合は、そっこうで未来を思考して、フラッシュバックを断ちましょう。