刑法(逮捕・監禁罪)

逮捕・監禁罪(26) ~「逮捕罪、監禁罪における共同正犯」を説明~

 前回の記事の続きです。

逮捕罪、監禁罪における共同正犯

 共同正犯とは、

2人以上の行為者が、犯罪の実行行為を分担し、共同して犯罪を犯した場合

をいいます(詳しい説明は前の記事参照)。

 共同正犯は、共犯ともいいます。

 逮捕罪、監禁罪においる共同正犯に関連する判例・裁判例として、以下のものがあります。

大審院判決(昭和10年12月3日)

 共謀者の1人が強いて被害者を搭乗せしめたる自動車を、運転疾走しその脱出を防止した者は不法監禁罪の共同正犯であるとしました。

仙台高裁判決(昭和30年11月8日)

 被告人は、同僚のA、Bが他人とけんか闘争中と聞いて同僚数名と共に現場にかけつけたところ、Aがけんか相手のKを逮捕連行しようと呼びかけたので、同僚8名とこれに応じ、一部の者が左右からKの両腕を捉え、その他の者は一団となって同人を取り囲み、威力を示してKの逃走の意思を抑圧し引き立て連行したことが認められる以上、被告人は直接Kの身体に手をかけなくとも、同人逮捕の実行行為を分担したものといえるから、逮捕罪の共同正犯であるとしました。

東京地裁判決(昭和40年4月27日)

 被告人ら多数の集団犯行の事案で、被告人が、被害者が乗車している乗用車の周辺のデモ隊に対し、座り込みを指示したり、スクラムを組めと指示したり、自らも座り込みを実行したりして同車の包囲に加わり、被害者らを救出するため機動隊がデモ隊の抵抗を排除して同車に取りつき、周囲を警察官で取り囲んで防護することに成功するまで被害者らを車内に閉じ込めて監禁した行為について、現場共謀を認定し、監禁罪の共同正犯であるとしました。

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