刑法(逮捕・監禁罪)

逮捕・監禁罪(9) ~「見張りを付けて被害者をして任意に外出させない行為による監禁行為」を説明~

 前回の記事の続きです。

見張りを付けて被害者をして任意に外出させない行為による監禁行為

 監禁罪(刑法220条)の監禁行為について、

見張りを付けて被害者をして任意に外出させない行為による監禁行為

があります。

 この種の監禁行為について、判例上、以下のものがあります。

  1. 被害者の居宅に共犯者を差し向け、自らも時々監視に赴き、被害者の傍らにいて同人を任意に外出させないというもの(大審院判決 大正15年10月14日)
  2. 病臥中の被害者を自宅から被告人方まで連行して一室に入れ、脅迫して強いてその場を退去すればいかなる危害を加えられるかもしれないと畏怖せしめ、さらに同人の身辺につきまとって監視し、同人の行動の自由を束縛て同所より脱出できないようにし、終わりころ2晩は夜自宅に行き朝帰ることを許したが、11日間にわたり監禁するというもの(東京高裁判決 昭和34年12月7日
  3. 被告人らはいずれもY会という理想社会の建設を目的とした団体の会員であり、同会ではその実践活動の方法としてY式養鶏普及会等をつくり特別講習研鑽会等を行って、会員の増加及び会旨の普及を計っていたが、講習参加者の増大を計るため、従来の自発的な参加者募集方法を改め、会員の親族、知人に対して会員が急病であるというような虚偽の電報を打って呼び寄せ、講習を受けさせることとし、上記電報を信じた百数十名の者が来所したが、受講を拒絶したり受講途中で帰宅するものが続出したので、これを防止するため、その監視に専従する者を置き、来所者に対し暴行脅迫を加えてでも講習会場に連行し受講させることを共謀した上、受講を拒絶したり講習の途中で帰宅しようとした来所者に対し、暴行または脅迫を加えて講習会場に連行し、多数の会員による監視を続けて受講を強制して数日にわたり講習会場から脱出を不可能にして監禁するというもの(津地裁判決 昭和36年4月28日)

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