仕事において、朝早く出勤して掃除をするなど、利他的な行動をとれる人がいます。
この利他的な行動は、良心に基づく行動だと思われがちですが、それは違います。
今回は、仕事において、人は、純粋な善意・無償の愛などの良心で行動しているわけではないことについてお話します。
人が純粋な善意・無償の愛で行動できる場面
人が損得なしに、純粋な善意・無償の愛で行動できるのは、自分の子供や家族・仲間のためなど限定的な場面だけです。
脳科学的に説明すると、純粋な善意・無償の愛で行動できるのは、脳からオキシトシンという脳内物質が分泌されるときです。
オキシトシンは、‶愛情ホルモン″と呼ばれ、脳に愛情を感じさせたりする脳内物質です。
例えば、人が自分の子供に対し、膨大な時間とエネルギーを使って、無償の愛をもってかわいがることができるのは、脳からオキシトシンが分泌されるからです。
逆にいうと、オキシトシンが分泌されていないと、純粋な善意・無償の愛を他人に提供することができません。
仕事において、純粋な善意・無償の愛で行動することはほとんどない
仕事において、オキシトシンが分泌される場面はほとんどありません。
よって、人は、仕事において、純粋な善意・無償の愛で行動することはほとんどなく、損得を計算して行動します。
職場で、
- 出勤したら上司や先輩の机をふく
- かかってきた電話を誰よりも早くとる
- ごみ捨て、お茶出しなどの雑用を積極的に行う
- 旅行に行ったら職場にお土産を買ってくる
などの利他的な行動が率先してできる人は、人間性や人格が優れており、自分の良心に突き動かされて、これらの行動をとっているのではありません。
これらの行動は、自分の子供に対して行うような純粋な善意・無償の愛に基づく行動とは性質が異なります。
これらの行動は、社内評価、承認欲求、優越性の追求、世間体、自尊心、恐怖、習慣、自己啓発の実践などの良心とはまったく別の動機で行っているのです。
例えば、若手社員が、ごみ捨て、お茶出しなどの雑用を積極的に行うのは、上司や先輩から、
- 気が利く
- 忠誠心が高い
- 人間として優れている
などの社内評価を得るためであったり、または、
- 若手なのに気が利かない
- 忠誠心が低くて気に入らない
- 社風に合わない
などの批判的な印象をもたれることを恐れるから行うのです。
また、上司や先輩からの評価とは関係なしに、
- 自己実現
- 自己研鑽
- 習慣
として雑用をこなせる人もいます。
いずれにしても、仕事において、他人が善意や良心で利他的な行動とってくれていると思ったら大間違いです。
まとめ
仕事において、人は、良心に基づいて行動しているようで実はそうではありません。
社内評価、承認欲求、優越性の追求、世間体、自尊心、恐怖、習慣、自己啓発の実践など、良心とはまったく別の動機で行動していることを理解しておくことが大切です。