脳が未来について考える理由
良い未来予測は、私たちに喜びを与えてくれます。
悪い未来予測は、危険を防いでくれます。
これらは、人間の脳が、未来についての考えを量産し続ける理由のひとつですが、最大の理由ではありません。
脳が未来についての考えを量産し続ける最大の理由は、
これから起こる出来事をコントロールするため
です。
なぜ、これから起こる出来事をコントロールしたがるのか?
人間が、未来についての考えを量産し、これから起こる出来事をコントロールしようと思考するのは、
未来に対するコントロール感をもてることが気持ち良いから
です。
コントロール感が気持ち良いことが分かる例は、テレビゲームです。
テレビゲームは、キャラクターやストーリーが予測どおりに動いてくれるので、コントロール感を得ることができ、快感を獲得できるのでハマるのです。
コントロール感に対する渇望は、人間に生まれつき備わった基本的欲求のひとつです。
自然にまかせて、あるがままを生きることは、未来のコントロールを手放し、自分の生命を危険にさらすので、本能が拒否します。
人間は、コントロール感がゼロになると、不安・恐怖・怒りなどのストレスを感じ、精神を病んで死にたくなります。
人間にとって、コントロール感は、精神を健全に保つために必要な要素なのです。
未来に対するコントロール感は満足化モデル
現実に未来をコントロールする必要はなく、コントロール感をもてるところで気持ち良さを感じて満足します。
人間の未来予測は、効用の最大化や最適化を目指しているように思われますが、最終的には満足化に落ち着きます。
人は、未来を予測するのに「あーでもない、こーでもない」と思考をめぐらせます。
その結果、「これならいいか」と自分を納得させたところで、コントロール感を獲得し、気持ち良さを感じて満足し、思考作業を終了します。
【追記 】仕事
日常生活において、人は、「未来予測→コントロール感の獲得→満足」のサイクルで意思決定をし、活動しています。
仕事における決裁者の意思決定も、「未来予測→コントロール感の獲得→満足」のサイクルになっています。
決裁者は、部下があげてきた仕事の企画に対し、「うまくいきそうだ。問題はなさそうだ。」などの予測ができたときに、コントロール感を獲得し、気持ち良さと満足感を感じてGOサインの決裁をします。