道路交通法違反

道路交通法の車両(4)~「自転車の意義」を説明

 前回の記事の続きです。

「自転車」の意義

 「自転車」の意義は、道交法2条1項11号の2において、

ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であって、身体障害者用の車、小児用の車及び歩行補助車等以外のもの(原動機を用いるものにあっては、人の力を補うため原動機を用いるものであって内閣府令で定める基準に該当するものを含み、移動用小型車及び遠隔操作により通行させることができるものを除く。)をいう

と規定されます。

「ペダル又はハンド・クランクを用い」とは?

 「ペダル」とは、

  • 足で踏んで操作する踏板で、足による上下運動を回転運動に変え車を推進させるもの

をいいます。

 「ハンド・クランク」とは、

  • 手動式の装置で、手による往復運動を回転運動に変え車を推進させるもの

をいいます。

「人の力により運転する二輪以上の車」とは?

 「人の力により運転する」とは、

  • 専ら自転車に乗車している者の力によって運転する構造のもの

という意味です。

 これは、その時々の状態でとらえるべきものではなく、属性としてとらえるべきものとされます。

 「自転車」とは、人の力により運転する一輪以上の車(レールにより運転する車は除かれる。)なので、

は自転車に該当しますが、

  • 一輪自転車

は、道交法にいう自転車には該当しません。

「身体障害者用の車、小児用の車及び及び歩行補助車等以外のもの(原動機を用いるものにあっては、人の力を補うため原動機を用いるものであって内閣府令で定める基準に該当するものを含み、移動用小型車及び遠隔操作により通行させることができるものを除く。)」とは?

「身体障害者用の車、小児用の車及び及び歩行補助車等以外のもの」とは?

 「身体障害者用の車、小児用の車及び及び歩行補助車等以外のもの」とは、

は自転車の範疇から除くという意味です。

 「歩行補助車等」の「等」とは、「身体障害者用の車及び遠隔操作型小型車並びに歩行補助車、乳母車その他の歩きながら用いる小型の車で政令で定めるもの」をいいます(道交法2条1項9号)。

 「小児用の車」には、

  • 子供用二輪自転車
  • 小児用三輪車
  • 乳母車(ベビーカー)

などが該当します(詳しくは道路交通法の車両(1)の記事参照)。

 「歩行補助車」とは、

  • 高齢者その他運動能力が少し低下した個人の移動の補助などに使われる車及びこれに類する車の総称

です。

 例えば、高齢者向けの手押し車で、荷物の運搬を主眼とするものが該当します

 身体障害者用の車椅子、小児用の車、歩行補助車等を通行させている者は、歩行者扱いとなります(道交法2条3項1号)。

「原動機を用いるものにあっては、人の力を補うため原動機を用いるものであって、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。」とは?

 「原動機を用いるものにあっては、人の力を補うため原動機を用いるものであって、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。」とは、

ことを示すものであり、駆動補助機付自転車(電動アシスト自転車)については「自転車」の範疇に含めることを明らかにしたものです。

 駆動補助機付自転車(電動アシスト自転車)とは、

  • 従来の人力併用の原動機付自転車が原動機の動力を人力から独立して使用するものであるのに対し、電動機が人力から独立された形では作動せず、専ら人力に対する補助力として作用するもの

    つまり、

  • 人力を加えた際の走行に応じて駆動補助力が働くというもので、駆動補助力の大きさは人力と同等かそれ未満であり、かつ、一定の速度に達した場合は、駆動補助力はゼロになるといった一定の要件を満たすもののこと

をいいます。

 駆動補助機付自転車(電動アシスト自転車)は、従来から自転車の定義に該当するものと解されてきましたが、このことを法律上明確にするため、カッコ規定を設け、その基準を道交法施行規則1条の3に規定しました。

 この基準に該当しない駆動補助機付自転車(電動アシスト自転車)は、自動車又は原動機付自転車となります。

 駆動補助機付自転車の形式認定の手続等については、道交法施行規則39条の3に定めがあります。

次の記事へ

道路交通法違反の記事一覧