学習

脳は、記憶から、過去を再経験する

人間の脳は、現実のほか、記憶からも出来事を経験できる

 人間の脳は、現実(現実に起こった物事や出来事)を視覚野・聴覚野でとらえ、経験(視覚経験・聴覚経験)します。

 人間の脳が、経験(視覚経験・聴覚経験)するは、現実からだけではありません。

 人間の脳は、記憶からも経験(視覚経験・聴覚経験)することができます。

 好きな音楽は、現実に音楽が流れていなくても、記憶があれば、歌手の歌声やギター・ドラムの音など、かなり正確に脳内再生が可能です。

 好きな映画やアニメのシーンも同じく、記憶があれば、まさにその映像を見ているかのように脳内イメージで映し出すことが可能です。

 人間の脳は、「現実」のほかに、「記憶」から視覚野・聴覚野に情報を送り、視覚経験・聴覚経験をすることができます。

記憶からも出来事を経験できる脳の機能は、人を死に追いやる

 人間の脳が、「現実」で見聞きした情報を脳の視覚野・聴覚野におくり、視覚経験・聴覚経験をする機能だけであれば、人の悩みはだいぶ減ったことでしょう。

 人間の脳が、「記憶」から抽出した情報を脳の視覚野・聴覚野におくり、視覚経験・聴覚経験をしてしまうことで、人間は思い悩み、精神を消耗します。

 いじめがよい例です。

 学校で、いじめられっ子が現実にいじめを受けた時間は4時間だったとします。

 しかし、いじめられっ子本人にとっては、いじめられている時間は4時間ではすみません。

 いじめられっ子本人は、家に帰ってからいじめられた状況を記憶から呼び起こし、視覚経験・聴覚経験を味わいます。

 脳は、記憶から過去を再経験するのです。

 いじめられっ子本人にとって、いじめを受ける視覚経験・聴覚経験の時間は、現実の4時間と記憶の14時間の合計18時間です(睡眠は6時間として)。

 精神にダメージを受ける強烈な記憶ほど鮮明にはっきりと思い出すことができるので、たちが悪いです。

 いじめにより精神的苦痛を味わう時間は、かなり長い時間になるのです。

 自殺しても無理はありません。

 人間は、ネガティブな記憶ほと頭によく残り、記憶として引き出すことが容易です。

 それゆえ、「記憶」から視覚経験・聴覚経験ができてしまう脳の機能に苦しめられるのです。

まとめ

 人は、「記憶」から視覚経験・聴覚経験ができてしまうことを知ることが大切です。

 いじめ、パワハラなど、相手の精神を傷つける行為は、相手が現実に苦痛を経験する時間はわずかかもしれません。

 しかし、現実が過ぎ去った後でも、人によっては、何年も、何十年も、「記憶」から精神が痛めつけられたときの状況を呼び起こし、脳の視覚野・聴覚野に情報をおくり、視覚経験・聴覚経験を繰り返し味わいます。

 この記事を読んでいるみなさんも、何十年も前の精神的苦痛を受けた出来事を記憶から引き出し、今でも視覚経験・聴覚経験を繰り返している案件があるかと思います。

 人の経験(視覚経験・聴覚経験)というのは、

  • 「現実」だけがもたらすものではない
  • 「記憶」からも、もたらされる

ことを理解しておく必要があります。

 相手の精神を傷つける行いをするときは、相手は、何年も、何十年も、場合によっては死ぬまで、あなたのことを思い出し、あなたの行いを脳内で繰り返し経験し続けることを分かっておきましょう。