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焦点錯覚とは? ~注目した一つの要因に対する答えが、全体の答えになる~

焦点錯覚とは?

 ある代表的な問題に注意しすぎると、その代表的な問題ばかりに気を払い、他の要因を見ようとしなくなります。

 それにより、意思決定を誤ることになります。

 この状態を「焦点錯覚」といいます。

  たとえば、

  • ブラック企業に勤めていて、会社をやめたい。
  • けれど、上司から、「会社を辞めたら訴えるぞ。」などと言われ、怖くて会社を辞めることができない。
  • もう死ぬしかない。

といった思考は、焦点錯覚に陥っています。

 「会社をやめることができない」という代表的な問題を作り上げ、その問題ばかりに気を払い、他の選択肢を見ようとせず、「死ぬしかない。」という誤った意思決定をしてしまっています。

 焦点錯覚は、思考の焦点を絞り込み過ぎることで起こります。

 思考の焦点を絞り込み過ぎることで、ほかの選択肢が見えなくなり、現実を正しく認知できなくなります。

 焦点の絞り込み過ぎにより、選択肢を失った状態で、頭の中で作り上げた歪んだ世界が、現実の世界なんだと錯覚します。

焦点錯覚は日常的に起こる

 焦点錯覚は、日常生活で頻繁に起こります。

 一つの要因に注意を払い、他の要因を見ようとしていない状態は、焦点錯覚が起こっている状態です。

 たとえば、仕事において、人を評価するときに、

  • 服装がだらしない➡こいつは仕事ができないタイプの人間だ(でも実際は有能)
  • イケメンでコミュ力が高い➡この人は仕事ができるタイプの人間だ(でも実際は詐欺師的な人格の持ち主)

といった評価をしがちです。

 上の例の場合、一つの要因に注意を払い、他の要因を見ようとしていないので、焦点錯覚を起こしています。

 そもそも、人間の感情というのは、その時に何に注意を向けているのかで、おおむね決まってしまうので、注意が向いている一つの要因のみをもって、意思決定したくてたまらないのです。

 そのため、多くの場合、焦点錯覚を起こした意思決定をしてしまうのです。

まとめ

 注目した一つの要因に対する答えが、全体の答えにすり替わってしまうのが、焦点錯誤です。

 焦点錯誤は、日常生活で頻繁に起こっているので、自分自身を観察してみてください。

 焦点錯誤による意思決定や感情反応を頻繁にしていることに気づけると思います。