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【心理学】ハロー効果が起こる理由 ~人は相手に抱いた初期感情を一緒に思い出す~

 

ハロー効果とは?

 ハロー効果とは、良い面でも悪い面でも、その人の目立つ特徴に引きずられて、全体の評価がきまってしまうという人間の心理法則をいいます。

 好感が持てる相手に対しては、ハロー効果により、その人がとる行動にも好感がもてるという心理が働きます。

 好感が持てない相手に対しては、ハロー効果により、その人がとる行動にも好感が持てないという心理が働きます。

 もし、あなたがジャニーズの嵐の音楽を好きと思っているのなら、嵐のメンバーのライフスタイルや人生観も好きである可能性が高いです。

 このように、ある人のすべてを(自分の目で確かめていないことまで含めて)好ましく思う(または全部を嫌いになる)傾向は、ハロー効果として知られています。

ハロー効果が起こる理由

 ハロー効果が起こる理由は2つあります。

理由① 相手に抱いた初期感情を一緒に思い出す

 たとえば、新入社員として初めて出勤し、不安な状態のときに、先輩から優しく仕事を教えてもらい、歓迎会までしてもらったとします。

 そうすると、その先輩に対し、「とても優しくて親切な人だ。仕事に対する不安を解消してくれてありがたい。」などといった感情を抱きます。

 翌日、先輩に会うと、会った瞬間から先輩に対し、ポジティブで好意的な感情を抱きます。

 先輩が再び何かしてくれたわけでもないのにです。

 これは、先輩に会って、先輩を認知したとき、過去に先輩に抱いた優しくて親切というプラスの感情も一緒に思い出すためです。

 さらに後日、先輩がバリバリ仕事をしている様子を目にしたとき、具体的に先輩の仕事の内容や、具体的な仕事の出来が分からなくても、「仕事ができる人だ」と思うようになります。

 これは、過去に先輩に対して抱いた優しくて親切というプラスの感情から連想して、「この人は仕事ができる」というプラスの思考を作り上げたからです。

 先輩の「優しくて親切」という好ましい性質に、さらに「仕事ができる」という美点を勝手につけ加えたわけです。

 このような一連の流れが、ハロー効果です。

 相手に抱いた初期感情が思い出されることで、その初期感情から連想して、次の感情を作りあげます。

 相手に対し良い感情を抱いていれば、その感情から連想する次の感情も良いものになります。

 反対に、相手に相手に悪い感情を抱いていれば、その感情から連想する次の感情も悪いものになります。

 これがハロー効果が起こる理由(ハロー効果の仕組み)の一つ目です。

理由② 一貫性をとろうとする

 人は、一貫性を追求する生き物です。

 一貫性のある事に対し、心地良さを感じ、心地よさを感じることで、正しさを認知するからです。

 逆に、一貫性のない事に対しては、不快を感じ、正しくないと認知します。

 この思考法則は、心理学では、‶ 一貫性の心理 ” といわれています。

 人の思考は、一貫性をとろうとするので、好印象を抱いている人に対しては、次に会った時も好印象を抱きます。

 好印象を抱いている人に対し、次に会ったときに、いきなり悪い印象を抱くことはりません。

 なぜならば、一貫性が通らないからです。

 一貫性のなさは、人を不快にさせ、不安にさせます。

 人は、不快や不安が大嫌いなので、一貫性の通らない思考は避けます。

 よって、好印象を抱いている人に対しは、次も好印象を抱くようになっているのです。

 これがハロー効果が起こる理由の二つ目です。

人に対する評価は、ハロー効果の暴力である

 人に対する評価は、ハロー効果に基づいて行われているといっても過言ではありません。

 会社の人事評価が良い例です。

 営業成績など、数字で評価できる人事評価は別として、数字で評価せず、勤務態度などの主観で評価が行われる人事評価は、ハロー効果が働きます。

 ずっと良い評価をとり続けている社員は、上司から「こいつなら次もうまくやってくれるだろう」という印象を抱いてもらえます。

 逆に、上司は、ずっと良い評価をとり続けている社員に対しては、悪い評価をつけにくくなります。

 ずっと良い評価が続いているのに、いきなり普通、または悪い評価をつけたら一貫性が通らなくなるからです。

 一貫性の通らない気持ち悪さが、上司を不快させ、不安にさせるので、良い評価を受け続けている人は、特段悪いことがなければ、次も良い評価となります。