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人間関係のマトリックス② ~人間関係は行き過ぎると地獄に落ちる~

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人間関係のマトリックス① ~「ポジティブ自立」「ポジティブ依存」「ネガティブ自立」「ネガティブ依存」~

ポジティブ自立が行き過ぎた場合

 ポジティブ自立の人は、人格を兼ね備えたリーダーのような人です。

 しかし、ポジティブ自立が極端になると、行き過ぎたポジティブになり、地獄に落ちます。

 会社を破綻させるワンマン経営者、多くの人を間違った方向に洗脳する宗教の教祖、国の独裁者は、行き過ぎたポジティブです。

 理想に向かう行動と現実の結果が乖離(かいり)しているのであれば、ポジティブ自立が行き過ぎているといえます。

 ポジティブ思考が強すぎて、現実を直視する能力が失われているのです。

 周囲が難しい、無理だと言えば言うほど燃え上がったり、挑戦すること自体に興奮したり、挑戦しなけばならないという強迫観念に駆られています。

 もはや狂気のレベルに達しています。

 なので、同じ組織の人は、もの申すことができなくなります。

 組織のトップがポジティブ自立にはまると、その関係は組織が破綻するまで続きます。

 会社なら倒産、家庭なら離婚です。

 最終的に「こいつはバカだ」と認定され、誰にも相手にされなくなります。

 ポジティブ自立に偏りすぎても地獄に落ちるので、注意が必要です。

ポジティブ依存が行き過ぎた場合

 ポジティブ依存は、

  • 空気を読む
  • 周囲に合わせる

というのが特徴です。

 世の中のほとんどの人は、ポジティブ依存にポジションをとることが多いです。

 ポジティブ依存も行き過ぎると地獄に落ちます。

 他人の顔色をうかがい、不安や恐怖などのストレスを感じながら行動するので、脳の機能が低下し、明晰な思考ができなくなり、ヘマが多くなります。

 そして、ヘマがヘマを呼び、負のスパイラルに陥ります。

 仕事でも、家事でも、「きっとダメ出しされる」などといったネガティブ思考に支配されます。

 本当は能力がある人でも、ネガティブループの力学にはまると、能力を発揮できないまま、手も足も出なくなり、無能な人間になります。

 ネガティブループの中では、

  • 誰かに責められるんじゃないか
  • 否定や批判をされるんじゃないか
  • とんでもない失敗をしでかすんじゃないか

という終わらない恐怖の中で生きることになります。

 口癖は「すいません」になっています。

 対極のネガティブ自立の人との組み合わせになると最悪です。

 いつも怒られて、責められて、批判されて、小突き回されて生きることになります。

 いじめっ子の養分にされているような状態です。

 本当は悪くないのに、悪者にされてしまうという理不尽なことも起きます。

 ポジティブ依存が行き過ぎた人に待っているのは、他人に苦しめられる地獄の人生です。

ネガティブ自立が行き過ぎた場合

 ネガティブ自立は、

  • 他人を不安や恐怖で煽ってコントロールする
  • 他人を批判し、否定し、ダメ出しする

ことを平然とやってのける人たちです。

 ネガティブ自立の人が、その度合いが進んで、行き過ぎると、地獄にいる悪魔のような存在になります。

 「私がこれだけ口を酸っぱくして言っているのに、誰もついてこれない。周りにはバカしかいねぇな!」という感じで、魂を燃やして頑張っている自分に比べると、周囲の人間全員が、バカで無能で無責任に見えてきます。

 そして、周囲の人間がバカで無能で無責任に感じる分だけ、自分に責任が重くのしかかるのを感じます。

 その重圧に耐えかねて、さらに周囲に当たり散らします。

 恐怖政治の始まりです。

 ネガティブ自立が行き過ぎた人は、自分は絶対に正しいと確信しているため、自分の非を認めることはありません。

 相手が精神を病んだり、自殺するか、相手にクーデターを起こされるまで走り続けます。

ネガティブ依存が行き過ぎた場合

 ネガティブ依存は、

  • 自信がない
  • 不安や恐怖を感じやすい
  • ものごとを悲観的にとらえる

ような人たちです。

 ネガティブ依存が行き過ぎると、すべてのものごとの暗い面ばかりが強調されて見え、精神的に苦しみ、地獄にいるような人生を送ることになります。

 自分にも、他人にも、社会にも、未来にも絶望しがちになります。

 何でもかんでも後ろ向きにとらえてしまいます。

 一時的にネガティブになるのではなく、四六時中、恒常的にネガティブになります。

 暗い世界に閉じこもり、社会とミスマッチするため、普通に人間関係を築くことができません。

ネガティブ依存に起こる逆転現象

 ネガティブ依存の地獄に落ちた人が、そこから立ち上がったとき、ある逆転現象が起こります。

 それは、ポジティブ自立への転身です。

 多くの場合、ネガティブ依存の人が、苦しさから逃れるため、「ここから出よう」と決意して、飛び出したときに行く場所がポジティブ自立なのです。

 ネガティブ依存を脱し、突き抜けた先がポジティブ自立なのです。

 そもそも、ポジティブ自立というは自然には存在せず、人間の意志力や精神力により人工的に作り出された型なのです。

 人間は、ネガティブ本能という本能をもって生まれ落ちるので、ものごとをネガティブにとらえるのが自然なのです。

 しかし、「ネガティブなままじゃダメだ!私は変わるんだ!」と、ネガティブ本能にあらがうメンタルトレーニングを積んだ人がたどり着く場所が、ポジティブ自立なのです。

 なので、今は人格者的リーダーでも、実は、もともとはネガティブであり、心が弱かったという人は多いのです。

 そのため、ポジティブ自立の人は、調子が良く、のっているときは、ものすごい成果を上げますが、一度、調子が悪くなると、一気にメンタルが落ち込み、打たれ弱くなるという特徴があります。

 あのポジティブの塊であり、熱い男である松岡修三さんも、自身のことを以下のように語っています。

 メンタルトレーニングなどを通して、ポジティブな考え方をするための訓練を続けてきました。こうして出来上がったのが「ポジティブな松岡修三」であり、僕は後天的ポジティブ人間なわけです。

 ネガティブ依存で苦しみ「ここから脱したい」という大きなエネルギーを持った人が、ポジティブ自立の人格を作り上げるということです。

 ポジティブ自立は、人工物なのです。

続きの記事

人間関係のマトリックス③ ~人間関係で苦しむのは、性格ではなく、ポジションどりのせい~

人間関係のマトリックス④ ~自分の内面でも、人間関係のマトリックスの力は働く~