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人間関係のマトリックス① ~「ポジティブ自立」「ポジティブ依存」「ネガティブ自立」「ネガティブ依存」~
ポジティブ自立が行き過ぎた場合
ポジティブ自立の人は、人格を兼ね備えたリーダーのような人です。
しかし、ポジティブ自立が極端になると、行き過ぎたポジティブになり、地獄に落ちます。
会社を破綻させるワンマン経営者、多くの人を間違った方向に洗脳する宗教の教祖、国の独裁者は、行き過ぎたポジティブです。
理想に向かう行動と現実の結果が乖離(かいり)しているのであれば、ポジティブ自立が行き過ぎているといえます。
ポジティブ思考が強すぎて、現実を直視する能力が失われているのです。
周囲が難しい、無理だと言えば言うほど燃え上がったり、挑戦すること自体に興奮したり、挑戦しなけばならないという強迫観念に駆られています。
もはや狂気のレベルに達しています。
なので、同じ組織の人は、もの申すことができなくなります。
組織のトップがポジティブ自立にはまると、その関係は組織が破綻するまで続きます。
会社なら倒産、家庭なら離婚です。
最終的に「こいつはバカだ」と認定され、誰にも相手にされなくなります。
ポジティブ自立に偏りすぎても地獄に落ちるので、注意が必要です。
ポジティブ依存が行き過ぎた場合
ポジティブ依存は、
- 空気を読む
- 周囲に合わせる
というのが特徴です。
世の中のほとんどの人は、ポジティブ依存にポジションをとることが多いです。
ポジティブ依存も行き過ぎると地獄に落ちます。
他人の顔色をうかがい、不安や恐怖などのストレスを感じながら行動するので、脳の機能が低下し、明晰な思考ができなくなり、ヘマが多くなります。
そして、ヘマがヘマを呼び、負のスパイラルに陥ります。
仕事でも、家事でも、「きっとダメ出しされる」などといったネガティブ思考に支配されます。
本当は能力がある人でも、ネガティブループの力学にはまると、能力を発揮できないまま、手も足も出なくなり、無能な人間になります。
ネガティブループの中では、
- 誰かに責められるんじゃないか
- 否定や批判をされるんじゃないか
- とんでもない失敗をしでかすんじゃないか
という終わらない恐怖の中で生きることになります。
口癖は「すいません」になっています。
対極のネガティブ自立の人との組み合わせになると最悪です。
いつも怒られて、責められて、批判されて、小突き回されて生きることになります。
いじめっ子の養分にされているような状態です。
本当は悪くないのに、悪者にされてしまうという理不尽なことも起きます。
ポジティブ依存が行き過ぎた人に待っているのは、他人に苦しめられる地獄の人生です。
ネガティブ自立が行き過ぎた場合
ネガティブ自立は、
- 他人を不安や恐怖で煽ってコントロールする
- 他人を批判し、否定し、ダメ出しする
ことを平然とやってのける人たちです。
ネガティブ自立の人が、その度合いが進んで、行き過ぎると、地獄にいる悪魔のような存在になります。
「私がこれだけ口を酸っぱくして言っているのに、誰もついてこれない。周りにはバカしかいねぇな!」という感じで、魂を燃やして頑張っている自分に比べると、周囲の人間全員が、バカで無能で無責任に見えてきます。
そして、周囲の人間がバカで無能で無責任に感じる分だけ、自分に責任が重くのしかかるのを感じます。
その重圧に耐えかねて、さらに周囲に当たり散らします。
恐怖政治の始まりです。
ネガティブ自立が行き過ぎた人は、自分は絶対に正しいと確信しているため、自分の非を認めることはありません。
相手が精神を病んだり、自殺するか、相手にクーデターを起こされるまで走り続けます。
ネガティブ依存が行き過ぎた場合
ネガティブ依存は、
- 自信がない
- 不安や恐怖を感じやすい
- ものごとを悲観的にとらえる
ような人たちです。
ネガティブ依存が行き過ぎると、すべてのものごとの暗い面ばかりが強調されて見え、精神的に苦しみ、地獄にいるような人生を送ることになります。
自分にも、他人にも、社会にも、未来にも絶望しがちになります。
何でもかんでも後ろ向きにとらえてしまいます。
一時的にネガティブになるのではなく、四六時中、恒常的にネガティブになります。
暗い世界に閉じこもり、社会とミスマッチするため、普通に人間関係を築くことができません。
ネガティブ依存に起こる逆転現象
ネガティブ依存の地獄に落ちた人が、そこから立ち上がったとき、ある逆転現象が起こります。
それは、ポジティブ自立への転身です。
多くの場合、ネガティブ依存の人が、苦しさから逃れるため、「ここから出よう」と決意して、飛び出したときに行く場所がポジティブ自立なのです。
ネガティブ依存を脱し、突き抜けた先がポジティブ自立なのです。
そもそも、ポジティブ自立というは自然には存在せず、人間の意志力や精神力により人工的に作り出された型なのです。
人間は、ネガティブ本能という本能をもって生まれ落ちるので、ものごとをネガティブにとらえるのが自然なのです。
しかし、「ネガティブなままじゃダメだ!私は変わるんだ!」と、ネガティブ本能にあらがうメンタルトレーニングを積んだ人がたどり着く場所が、ポジティブ自立なのです。
なので、今は人格者的リーダーでも、実は、もともとはネガティブであり、心が弱かったという人は多いのです。
そのため、ポジティブ自立の人は、調子が良く、のっているときは、ものすごい成果を上げますが、一度、調子が悪くなると、一気にメンタルが落ち込み、打たれ弱くなるという特徴があります。
あのポジティブの塊であり、熱い男である松岡修三さんも、自身のことを以下のように語っています。
メンタルトレーニングなどを通して、ポジティブな考え方をするための訓練を続けてきました。こうして出来上がったのが「ポジティブな松岡修三」であり、僕は後天的ポジティブ人間なわけです。
ネガティブ依存で苦しみ「ここから脱したい」という大きなエネルギーを持った人が、ポジティブ自立の人格を作り上げるということです。
ポジティブ自立は、人工物なのです。
続きの記事
人間関係のマトリックス③ ~人間関係で苦しむのは、性格ではなく、ポジションどりのせい~
人間関係のマトリックス④ ~自分の内面でも、人間関係のマトリックスの力は働く~