人は、自らの意思で「やろう!」と思ってやっている仕事は、やる気が出ます。
しかし、他人から命じられた仕事は、たとえ同じ仕事だったとしても、自らの意思でやる場合より、やる気がでません。
人は誰しも、他人に命ぜられた仕事よりも、自分の仕事の方がやる気がでます。
このことは、2つの心理学的要因で説明できます。
潜在的自尊心
1つ目の心理学的要因は、潜在的自尊心と呼ばれるものです。
潜在的自尊心とは、
- 自分自身を思い出させてくれるもの
- 自分と同一視できるもの
を好む心理をいいます。
人は、自分第一主義であり、自分がかわいい生き物なので、潜在的自尊心をもっています。
潜在的自尊心があることで、人は、自分に直結するもの、自分に帰属していると思えるものを好むのです。
そのような心理メカニズムから、人は、自分の仕事だと認識できる業務や、自分がリーダーだと自覚できる仕事に対しては、やる気をもって取り組むことができるのです。
授かり効果
2つ目の心理学的要因は、授かり効果と呼ばれるものです。
授かり効果とは、自分が所有するものに高い価値を感じ、それを手放したくないと思う心理をいいます。
授かり効果の存在を証明したビクトリア大学が行った実験があります。
被験者にマグカップか、大きなスイスチョコレートのどちらか好きな方を選んでもらいます。
すると、56%がマグカップ、44%がチョコレートを選びました。
ところが、被験者全員に、最初にマグカップを渡し(つまり所有したことになる)、次に「希望者はチョコレートと交換してもよい」と伝えたところ、交換したのはたった11%でした。
被験者全員に、最初にチョコレートを渡した場合も、マグカップと交換したのは10%でした。
これが授かり効果です。
人は、いったん自分のものになったら、それに執着し、手放したくないという心理が芽生えるのです。
授かり効果という心理メカニズムが働くため、人は、自分の仕事だと認識する業務に対して、自分の仕事だとはっきりと自覚し、責任感と高いモチベーションをもって取り組むことができるのです。
まとめ
他人から言われてやる仕事は、「潜在的自尊心」と「授かり効果」が発動しないので、モチベーションが上がりません。
他人から言われてやる仕事は、「面倒くさい」「だるい」と心理状態になってしまいます。
仕事が面倒くさい、早く帰りたいと思っている人は、他人から言われた仕事をこなしている人です。
自分の意思で仕事をしようとする意思がありません。
私のようなサラリーマンは、上司や先輩から言われてから仕事やっているようでは、やる気が生まれず、生産性が下がり、結果を出すことができないため、命とりです。
何より、他人から言われてからやる仕事は楽しくないし、夢中になれません。
他人から言われる前に、自分で考えて、自らの意思で仕事をやる状態を作っていかなければなりません。
私の場合は、「言われる前にやれ」、そうでなければ、「自分で作った仕事をやれ」と自分自身に言い聞かせています。