記憶はアウトプットすることで定着する
私は、記憶力は良いほうではありませんでした。
なので、高校・大学の受験勉強では、一日10時間の勉強を続けるなど、時間をかけて勉強していました。
時間をかけて勉強した割に、偏差値が平均よりちょっと良い程度の成績でした。
成績が伸びない原因は、記憶が定着せず、覚えたことを忘れてしまうことにありました。
その原因は、大人になった今なら分かります。
記憶が定着せず、覚えたことを忘れる原因は、インプットのみの学習しかしていなかったからです。
ひたすら黙って、教科書の内容を読み書きして覚えるというインプットに力を入れていたため、記憶が定着しなかったのです。
大人になって知ったことですが、記憶というは、インプットした後に、アウトプットしなければ、定着しないのです。
アウトプットとは、得た知識を他人に教えたりするなど、情報を自分の外の世界に発信することです。
子どもの頃の私は、そのことを知らず、インプット重視の勉強しかしていなかったので、記憶が定着せず、成績が伸びなかったのです。
知識をアウトプットすることで、知識が長期記憶に保存される
記憶を定着させるには、
『情報をインプットしたら、その情報をアウトプットする』
ことが必須となります。
脳は、得た知識を使うことで、その知識を重要な情報と認め、長期記憶として保存するのです。
情報や知識をたくさんインプットしても、アウトプットしない限り、記憶として定着せず、しばらくすると忘れてしまいます。
よく読み込み、覚えた気になっている本でも、本の内容を説明してみてと言われたら、「うっ!」となり、言葉につまります。
これはインプットしかしていないためです。
本の内容を他人に教えたり、情報発信するなどのアウトプットをしない限りは、記憶が長期記憶に保存されていないため、言葉が出てこないのです。
アウトプットで記憶が定着する脳の仕組み
情報が、脳にインプットされると、その情報は、海馬(かいば)というところに仮保存されます。
海馬は、一時的な記憶を扱う脳の部位です。
海馬にインプットされた情報の保存期間は、2~4週間です。
海馬の仮保存期間中に、その情報が何度も使われると(アウトプットされると)、脳は、その情報を『重要な情報』と判断し、側頭葉(そくとうよう)という情報の長期記憶を可能にする脳の部位に移動させます。
これにより、アウトプットした情報が、記憶として定着するのです。
人間の脳は、重要な情報を長期記憶として残し、重要でない情報は忘れるように作られています。
重要な情報とは、インプットした後に、繰り返し使われる情報です。
なので、インプットしても、その情報を使わなければ(アウトプットしなければ)、脳がその情報を重要な情報として長期記憶してくれず、すぐに忘れてしまうのです。
インプットした情報は、教えることで記憶が定着する(研究事例)
アメリカ合衆国訓練研究所の研究
アメリカ合衆国訓練研究所が、記憶が定着する学習方法を明らかにしています。
記憶の定着率が良い学習方法の1位は、
他人に教える
です。
他人に教えることは、まさにアウトプットの実践です。
2位以下は以下のとおりです。
2位 体験型学習
3位 グループ討論
4位 実験機材を使う
5位 視覚教材を使う
6位 読む
7位 講義を受ける、人の話を聞く
という順番です。
日本の学校教育の主たる学習方法は、7位の「講義を受ける、人の話を聞く」です。
「講義を受ける、人の話を聞く」はインプット100%です。
私は、「講義を受ける、人の話を聞く」という学習方法を続けてきたことに後悔しかありません。
ちなみに、上記の学習定着率の順位は、「ラーニング・ピラミッド」という図で表現されます。
ロンドン大学の研究
記憶実験で、最初のグループには、「これが終わったあとにテストをしますので、暗記してください」と言います。
もうひとつのグループには、「これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと暗記しておいてください」と言います。
同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。
結果、実際に教えることはしませんでしたが、「教えてもらいます」と伝えたグループの方が高い得点をとりました。
この研究から、実際に人に教えなくても、人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶定着率が上がることが分かります。
「人に教える」という前提で学習すると、アウトプットするときの状況をシュミュレーションするので、深い理解や、分かりやすい理解を探求するため、記憶の定着率が上がると考えられます。
インプットだけでは、現実の世界は何一つ変わらない
インプットは、自分の脳内世界に変化を与えますが、現実世界に変化は与えません。
インプットした情報を自分の中だけにとどめて終わりにしたのであれば、あなたの精神世界に変化があるかもしれませんが、あなたの現実世界に変化は起こりません。
インプットした情報は、アウトプットしなければ、現実世界に価値を生み出しません。
アウトプットすることで、現実の世界に変化を与え、価値を生み出すことができるのです。
なので、アウトプットできる人間は、優秀な人間です。
アウトプットは、
知識が定着し、自分自身が有能になる
かつ
社会に価値を提供できる
というダブルの有益性を備えています。
私は、どうせなら、得た知識や情報をアウトプットして、自分自身が有能になり、さらに、社会に何かしらの価値を提供したいと思います。