前回の記事の続きです。
性的姿態等撮影未遂罪
性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条)は未遂規定があります(2条3項)。
性的姿態等撮影未遂罪は、2条1項1~4号に掲げる撮影行為をしようとしたものの、結果として撮影に至らなかった場合、例えば、
- 女性の下着を盗撮をするために被害女性のスカートの下からスマートフォンを差し入れて撮影したが、露光が足りず、真っ暗な画像しかとれず、下着の写真を撮ることができなかった場合
- 脅迫して女性を裸にし、その裸をスマートフォンで撮影したつもりが、うまく撮影ボタンを押せていなかったため、動画が撮れていなかった場合
は、性的姿態等撮影未遂罪が成立し得ます。
性的姿態等撮影の行為の中には、法益侵害(自己の性的な姿態を他人に見られないという性的自由・性的自己決定権)の危険性を創出するものも含まれ得ることから、性的姿態等撮影罪の未遂を処罰するものです。
どの時点で実行の着手があったと認められるかについては、
- 性的姿態の影像が記録される現実的危険性を有する行為が開始されたとき
に実行の着手があったと認められ、この時点で性的姿態等撮影未遂罪が成立すると考えられています。