害悪告知の名義人は、脅迫者以外でも、名義を欠いても、実在しない人物でもよい
脅迫罪(刑法222条)において、害悪の告知を文書によって行う場合に、その名義は、脅迫者名義であればよいのはもちろん、
- 脅迫者以外の者が名義人となっている場合
- 名義人の記載を欠く場合
- 虚無人名義(実在しない人物名義)を用いる場合
でもよく、そのような場合でも脅迫罪が成立します。
参考となる判例として、次のものがあります。
大審院判決(明治43年11月15日)
虚無人名義の文書で放火又は殺害をする旨告知した事案で、裁判官は、
- たとえ無人の名義を用いて通告したるも、これがため脅迫罪の成立を妨げることなし
と判示しました。
脅迫者が誰であるかを被害者が認識しなくも、脅迫罪は成立する
脅迫者(害悪の通告者)が誰であるかを被害者が認識しなくても、脅迫罪は成立します。
参考となる判例として、次のものがあります。
大審院判決(大正7年3月11日)
犯人が脅迫の手段として放火の偽装をし、被害者にほどなくこれを自覚させたが、誰がどれをしたのか分からなかったという事案で、裁判官は、
と判示しました。