公判における犯罪被害者の権利や利益を守るための制度として、
- 被害者の法廷傍聴に対する配慮
- 被害者による公判記録の閲覧・謄写
- 刑事和解制度
- 損害賠償命令制度
があります。
今回の記事では、①と②について説明します。
① 被害者等の法廷傍聴に対する配慮
裁判官は、被告事件の被害者等又は被害者の法定代理人から、
被告事件の公判手続の傍聴(被害者が法廷の傍聴席で裁判を傍聴すること)の申出
があるときは、傍聴席及び傍聴を希望する者の数その他の事情を考慮しつつ、
申出をした者が傍聴できるように配慮
しなければなりません(犯罪被害者等保護法2条)。
※ 「被害者等」とは、「被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」をいいます。
具体的には、裁判官は、被害者が法廷の傍聴席で確実に裁判を見れるように、
- 被害者が座る傍聴席をあらかじめ確保すること
- 被害者に優先的に傍聴券を交付すること
などの配慮がなされます。
② 公判記録の閲覧・謄写
裁判所は、第1回公判期日後(1回目の公判が行われた後)、被告事件の終結までの間において、被告事件の被害者等若しくは被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、
被告事件の訴訟記録(裁判に提出された証拠や公判調書など)の閲覧又は謄写の申出
があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせます(犯罪被害者等保護法3条1項)。
裁判所は、被害者等に被告事件の訴訟記録を謄写させる場合において、謄写した訴訟記録の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができます(犯罪被害者等保護法3条2項)。
訴訟記録を閲覧又は謄写した者は、閲覧又は謄写により知り得た事項を用いるに当たり、不当に関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は捜査若しくは公判に支障を生じさせることのないよう注意しなければなりません(犯罪被害者等保護法3条3項)。
次回の記事に続く
次回の記事では、
- 刑事和解制度
- 損害賠償命令制度
を説明します。