確証バイアス ~人間は、自分に都合の良い情報だけをキャッチする~

 人間の脳には、自分に都合の良い情報だけを探し求めてキャッチしようとする思考の癖があります。

 この思考の癖を「確証バイアス」といいます。

 バイアスとは、無意識に動き、コントロール不能な脳の自動思考システムです。

 人間は無数のバイアスに支配されて生きています。

 確証バイアスは、その無数のバイアスのうちの一つです。

 人の意見を聞かない(聞く気がない)人たちがいますが、このような人は確証バイアスに支配されている人たちです。

確証バイアスに支配されている人の特徴

 確証バイアスに支配されている人は、「こうあるべきだ」という前提の信念を持っています。

 前提の信念に適合する情報については、自分に都合の良い情報(自分にとって気持ちの良い情報)としてキャッチします。

 しかし、前提の信念に適合しない情報について、自分に都合の悪い情報(自分にとって気持ちが悪い情報)として拒絶します。

 世の中のほとんどの人が確証バイアスに支配されて生きています。

 自分を客観的に見つめる能力や自制心を鍛えている人でなければ、確証バイアスの支配から逃れることができないからです。

 私は、確証バイアスの支配から逃れることができずとも、自分が確証バイアスに支配されていることに有意識でいられることが大切だと思っています。

確証バイアスに支配されている人の具体例

 新しい情報をキャッチしよとしない人は、確証バイアスに支配されている人です。

 分かりやすい具体例は、

  • 頭の固い上司
  • 老害といわれる高齢者

です。

 抽象度を高めると、

  • 自分の気に入らない意見には耳をかさない人
  • 自分に都合の悪い情報の誤りを見つけることに躍起になる人
  • 物事の両面を見ることができない人
  • 黒か白か分断したものの見方をする人
  • 相手の意見を否定することから入る人
  • 相手の意見をくみ取ろうとしない人

などが確証バイアスに支配されている人たちです。

確証バイアスの実験例

賛成意見しか見えない

 チャールズ・ロード、リー・ロス、マーク・レッパーら3人の科学者は、アメリカの大学から「死刑を強く支持する学生」と「死刑に強く反対する学生」の計48人を選んで、全員に2つの研究結果の資料を示しました。

 一つは死刑の有効性に関する証拠を示した研究結果の資料です。

 実は、その資料は偽物で、でっちあげたものなのですが、そのことは伏せられていました。

 「死刑を強く支持する学生」は、その資料を、死刑の有効性が立証されたよくできた実証研究だと評価しました。

 しかし、「死刑に強く反対する学生」は、その資料を、不用意で説得力のない研究だと評価しました。

(ちなみに、自分の意見を否定するような情報を提供されると、新しい反論を思いつき、さらに頑なになることがあります。これを「ブーメラン効果」といいます)

 最終的に、「死刑を強く支持する学生」は、死刑を支持するさらなる熱意を抱き、「死刑に強く反対する学生」は、それまでより熱い思いで死刑に反対するようになりました。

 この実験によって、

  • 人は、自分の考えを強化する場合に限って情報を受け入れる
  • 人は、情報が提供されることによって、物事の両面を見られるようになるどころか、物事の見方の両極化が進む

ことが確認されました。

 この実験は、人がいかに確証バイアスに支配されて生きているかを明らかにした実験といえます。

まとめ

 私は、仕事において、自分の意見がとおらずに苦戦することが結構あります。

 この原因は、自分の意見が、

  • 相手が持つ前提の信念に反する
  • 相手にとって都合が悪い

ことがあげられます。

 人間の心は、もともと持っている自分の考えに適合し、自分にとって好都合な意見のみを気持ちよく採用するようにできています。

 このような心の動きを作る犯人は、確証バイアス(自分に都合の良い情報だけを探し求めてキャッチしようとする思考の癖)です。

 確証バイアスは、自分と他人との意見の相違などの摩擦を生む原因になっています。

 世の中でうまく立ち回るためには、確証バイアスの存在を認識し、確証バイアスの存在を踏まえた上で行動していくことが必須です。

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