【認知の歪み】「単独評価」と「並列評価」では、同じ内容でも評価が変わる

 単独評価とは、一つの評価対象のみを目の前において、価値を評価することをいいます。

 並列評価とは、複数の評価対象を目の前に並べて、それぞれの価値を評価することをいいます。

 評価する対象が全く同じでも、人は、単独評価をするか、並列評価をするかで、評価の内容が変わってしまいます。

 評価方法の違いで、評価の内容がコロッと変わってしまうほど、人間が行う評価は歪んでいるのです。

 今回は、人間が行う評価というのは、

  • 一貫性を欠きやすい
  • 絶対的ではない
  • 感情反応が混じっている

ことについて書きます。

「単独評価」と「並列評価」の実験

 同じ寄付内容でも、単独評価と並列評価で寄付額が変わる実験を紹介します。

実験概要

第一段階

 被験者に、「絶滅危惧種のイルカ保護のための寄付」について、いくら寄付するかを答えてもらった(単独評価)。

 次に、「長時間太陽光線にさらされる農業従事者の皮膚ガン予防のための寄付」について、いくら寄付するか答えてもらった(単独評価)。

 単独評価を行うと、「イルカの寄付」の方が「農業従事者のガン予防寄付」より多い寄付額となった。

第二段階

 今度は、被験者に、「イルカの寄付」と「農業従事者のガン予防寄付」を並列して評価してもらった(並列評価)。

 結果、「農業従事者のガン予防寄付」の方が、多い寄付額となった。

単独評価と並列評価で寄付額が逆転した理由

 単独評価と並列評価で寄付額が逆転した理由は、並列評価になると、単独評価では意識されなかった点が浮かび上がってくることにあります。

 今回、並列にすることで、決定的に意識される点は、農家従事者は人間だが、イルカはそうではないという点です。

 単独評価の場合には、「イルカは人間ではない」という価値の尺度は生まれません。

 並列評価にして、二つを並べてみたときに初めて、「人間対動物」という図式が浮かび上がってきます。

 その図式が見えたときに、被験者は、イルカより、人間である農業従事者に肩入れした評価(寄付額)を回答するに至ったのです。

 イルカは、愛すべき動物であっても、人間に比べると、イルカへの寄付は相対的に少なくなるというわけです。

 単独評価は、感情反応が強く反映されます(イルカが可哀そうなど)。

 並列評価では、広い枠組みで考えるため、合理性が優先されやすくなります。

 このような単独評価と並列評価の視点の違いから、単独評価から、並列評価に変わったとたん、問題が違う姿をとったのです。

人間が行う評価には、歪みが混じっている

 評価対象がまったく同じでも、単独評価と並列評価とでは、評価結果が違うものになります。

 このことから、いかに人間が行う評価というのは、

  • 一貫性を欠きやすく
  • 絶対的ではなく
  • 感情反応が混じっている

ことが分かると思います。

 他人が行う評価、または、自分が行う評価というものは、人間の認知の歪みの延長にあることを理解しておくべきだと思います。

 人が行う評価には、歪みが混じっているのだから、信用ならないことも覚えておくべきです。

 まさか、他人が行う自分に対する評価を真に受けて、一喜一憂してませんよね?

 歪みのある他人の評価を真に受けて、踊らされてはいけません。

(追記)「単独評価」と「並列評価」を認識すべき

 人やモノ、サービスなどを評価するとき(または、評価されるとき)、単独評価を行っているのか、それとも並列評価を行っているのかを認識し、使いこなしましょう。

 単独評価と並列評価で、評価結果が変わることを利用すれば、他人をある程度、操作できます。

 たとえば、営業マンは、商品の見せ方を操作することで、客の選好に意図的な影響を与えることができます。

 逆に、単独評価と並列評価を用いたトリックを見抜ければ、他人が自分に選好の操作を仕掛けてきたときに、相手の意図を見抜くことができたりします。

 はたまた、並列評価は、広い枠組みで考えるため、合理的な判断をしやすいという性質を活用すれば、評価対象を複数用意して、合理的な結論を狙って導き出せたりします。

 さらに、単独評価は、感情反応に左右されやすいことを理解しておけば、感情的判断をしようとしている自分に気づき、自制ができるかもしれません。

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