【認知の歪み】表現方法によって、人の感情反応、印象、選好は誘導される(フレーミング効果)

人の認知は、表現方法により、たやすく誘導される

 人は、たとえ重要な選択であっても、その表現方法など、本質とは関係のない事柄に振り回されます。

 物事を表現する枠組み(表現方法や書式など)を変えることで、人が抱く印象や選好が変わる効果を「フレーミング効果」(フレーム=枠組み)といいます。

 人の認知は、表現方法などの枠組みに誘導され、たやすく本質からズレます。

 特別に訓練をしている人を除き、たいていの人の認知は、歪んでいるのです。

 次の実験例を見てもらうと、表現方法によって、人の抱く印象や選好が誘導されることが分かります。

演劇チケットの実験

 被験者に、質問1と質問2に応えてもらいます。

質問1

 ある男性が、2万円の演劇チケットを買いました。

 ところが、劇場に着いて、カバンを開けるとチケットがありません。

 この男性は、チケットを買い直すでしょうか?

 

質問2

 ある男性が、演劇を見ようと劇場へ行き、2万円のチケットを買おうとしました。

 ところが、カバンを開けると、チケット代として用意した2万円がなくなっています。

 しかし、クレジットカードは持っています。

 この男性は、チケットを買うでしょうか?

被験者の回答

 この問題のどちらか一方だけを見せられた被験者は、質問1と2とで異なる結論に達しました。

 大半の被験者は、

 質問1では「チケットを買わないだろう」と答え、

 質問2では「チケットを買うだろう」と答えました。

実験の解説

 この質問で考えるべきは、2万円の演劇チケットを買うか、買わないか、の選択とその結果です。

 チケットなのか、現金なのか、どちらをなくしたにせよ、いま関係ある事実は、この男性が2万円の財産的価値があるものを失ったということだけです。

 なくしたのがチケットと現金で、財産のかたちは違っても、2万円の財産を失った事実は同じです。

 では、なぜチケットを買う、買わないで、質問1と質問2で真逆の選択をしてしまうのでしょうか?

 それは、質問の表現方法に感情反応が誘導されるからです。

 表現方法が違えば、計上する感情は異なり、損失の意味合いも変わります。

演劇チケットをなくしてしまった場合の感情反応

 演劇チケットをなくしてしまった場合、特別な損失として、感情反応に計上されます。

 もし、チケットをもう一度買えば、同じ演劇に2倍の金を払うことになり、演劇の価値に比して、高すぎる・もったいないと感じられてしまいます。

 2倍の金を払って演劇を見ることになると考えてしまい、チケットを買うのを躊躇します。

現金をなくした場合の感情反応

 これに対して、現金をなくした場合は、一般的な「収入」の勘定に損失として計上されることになります。

 感情反応としては、不覚にも、自分の可処分所得が少し減ってしまったという感覚です。

 大半の人は、可処分所得が少し減ったからといって、演劇を見ないという選択はしないだろうと思うのです。

 2倍の金を払って演劇を見ることになるという強烈は後悔もありません。

まとめ

 このように、表現方法によって、人の感情反応、印象、選好は誘導されるのです。

 「表現方法によって、人の感情反応、印象、選好が誘導される現象」は、フレーミング効果によるものと認識できます。

 フレーミング効果を意識して使えば、人の感情反応、印象、選好を誘導したり、操作したりできます。

 表現方法ひとつで、人の感情反応、印象、選好は変わってしまうことから分かるとおり、人の認知というのは、歪んでいるのです。

 とはいえ、頭が回転させることができれば、フレーミング効果を打ち破ることもできます。

 フレーミング効果を打ち破る方法は、より広い枠組みで物事をとらえることです。

 より広い枠組みで物事をとらえることができれば、チケットをなくした人に対して、「もし同額の現金をなくしたのだとしたら、チケットを買い直しますか。もし答えがイエスなら、迷わずチケットを買って演劇を楽しんでください。」とアドバイスできます。

 より広い枠組みで物事をとらえることができる人は、妥当な結論に着地できます。

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